研究課題/領域番号 |
21K00432
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02040:ヨーロッパ文学関連
|
研究機関 | 東京外国語大学 |
研究代表者 |
武田 千香 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 教授 (20345317)
|
研究分担者 |
江口 佳子 常葉大学, 外国語学部, 准教授 (40766507)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2021年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
|
キーワード | ブラジル文学 / 黒人文学 / 女性文学 / マイノリティ / 人種 / マイノリティ文学文学 / ラテンアメリカ文学 / マイノリティ文学 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、ブラジルの黒人文学、女性文学、貧困者による文学を主対象に、以下の切り口から横断的に研究することでブラジルのマイノリティ文学の複合性を明らかにするとともに、それが世界の文学に貢献しうる潜在性を探るものである。 ①ブラジルの黒人文学、女性文学、貧困者による研究(2021年度) ②他地域のマイノリティ文学や他のマイノリティ文学との比較研究(2022年度) ③この3つの文学の独自の視点・手法・世界観とその潜在性(2023年度)
|
研究実績の概要 |
1)活動【講演会】①「ジュビアバ』(J・アマード)におけるマランドロ、民衆のヒーロー、労働者(V・H・ペレイラ4/25)②シコ・ブアルキと『オペラ・ド・マランドロ』文学のマランドラージェィンとしてのパロディ(C・ヌニェス、6/15)③ブラジルにおける日系人のハイブリッド・アイデンティティ(O・ナカザト、6/30)④「米国の女性文学――アジア系作家を中心に」(小林、10/1)①では黒人の主要登場人物を仕立てアフロ・ブラジル的視点を導入した先駆的作家アマードの重要性、②では奴隷制を過去に持つブラジル社会の特異な思考・行動様式、③では日本とブラジルを併せ持つアイデンティティを獲得した日系人の意識の変化、④では、 20世紀のアジア系アメリカ人作家のエスニック・アイデンティティの構築の変遷と、グローバリゼーション時代のアジア系移民文学の意義についての知識を獲得した。【研究会】シコ・ブアルキと『オペラ・ド・マランドロ』の講演を受けて(8/27) (2)マイノリティ文学作品を翻訳出版した。①『ニホンジン』(O・ナカザト著、武田翻訳、水声社、6/25刊)②『三人の女たち』(L・F・テーリス著、江口佳子訳、水声社、9/25)、③『曲がった鋤』(I・ヴィエイラ・ジュニオール著、武田・江口訳、1/10刊) (3)2月10日~3月5日に分担者の江口佳子が、ブラジルに出張し、ブラジル現代文学における女性作家の研究動向、社会的マイノリティの地位向上に重要な役割を果たしラ米の女性の存在や、日系人女性の社会的役割等を調査し、作家マリア・ヴァレリア・ヘゼンジ氏と面談し、主要作品の創作背景や意義を聴取した。 (4)共著1冊、研究ノート1本、国内学会報告2回のほか翻訳出版に関わる催し3つに参画した。 総じて今年度は多数の翻訳出版および講演会の実施し、関連する文学作品の精読、知識および研究素材の収集が主となった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
①ブラジルの黒人文学、女性文学、移民文学の代表的な作品(リジア・ファグンジス・テーリス著『三人の女たち』、イタマール・ヴィエイラ・ジュニオール著『曲がった鋤』、オスカール・ナカザト著『ニホンジン』)の翻訳出版は、この研究そのものを企画した当初の計画にはなかったことで、1年で3冊のブラジルのマイノリティ文学作品について、解説をつけて翻訳出版を実現できたことは大きな成果であった。とりわけ『ニホンジン』については、著者による講演会や著者を交えた研究会を実施し、作家自身と直接議論する場が得られた意義は大きい。 ③米国との移民文学に関する研究会を通して、ブラジルと北米のマイノリティ文学の比較研究に着手することができたほか、黒人文学、女性文学、移民文学、貧困者の文学、ゲイ文学それぞれについて一通り研究会や講演会や学会発表の場を設け、考察や議論をすることができた。 ④海外の講師による国際的な講演会・研究会を4回開催することができたほか、現地調査も実施することができ、国内に留まらない研究を推進することができた。 ⑤ただ当初の計画以上の活動が生じた分、延期した活動もあったため「おおむね順調に進展している」にした。
|
今後の研究の推進方策 |
最終年度である2023年度は、各個別カテゴリーにおいて、継続中の研究を一旦完了させ、2021年度および2022年度に推進した研究の結果や収集した素材を成果としてまとめる統括の年としたい。 ①【各個別カテゴリー】黒人文学:『曲がった鋤』の著者による講演会および研究会を実施し、作家自身と直接議論する場を設ける。また人種・ジェンダー・クラスが複合的に絡み合う黒人女性作家の文学を選び、論文を執筆する。女性文学:2022年度に実施した出張で得た知見及び収集した資料をもとに論文を執筆する。また、1月末にリール(フランス)で開催される国際シンポジウムで『三人の女たち』の翻訳に関する発表をする。 貧困者の文学:マージナル文学に分類される文学、その代表的作家としてフェヘスの作品を研究・調査し、論文にまとめる。 ②【現地調査】ブラジルにおいて専門家との意見交換や資料収集を行う。 ③【国際セミナーの開催】夏季にブラジルから講師を招いてマイノリティ文学に関するセミナーを開催し、そこで黒人文学を中心に、女性文学や貧困者の文学との関わりも含めて議論し、それを①の論文執筆等に活かす。
|