研究課題/領域番号 |
21K00436
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02040:ヨーロッパ文学関連
|
研究機関 | 大阪教育大学 |
研究代表者 |
赤木 登代 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (20324882)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
|
キーワード | ヘートヴィヒ・ドーム / アンチ・フェミニスト / ドイツ第一波女性運動 / 女性参政権 / 女性の高等教育 / 女子教育 / 平和主義 / 19世紀ドイツ市民社会 / ジェンダー / 女性作家 / 女子高等教育 / 文学作品 / 市民女性運動 / 女性の大学入学 |
研究開始時の研究の概要 |
ドイツ第一波女性運動(19世紀後半から20世紀初頭)において中心的役割を果たした市民女性運動家たちは、女性協会・連合を結成し、協力して女性解放、特に女性参政権と高等教育を受ける権利の獲得を目指した。これまでの研究はその思想をマニフェストや具体的な活動を中心に明らかにしようとしてきた。しかし、本研究では「書くこと」、すなわち彼女たちが啓蒙を目的に書いた小説やエッセイ、さらに日記、回想録を通じて、この時期の女性運動の思想を再検討する新たな試みである。加えて、同時代に生きた第三者の証言、しかも彼女らが闘った男性たちの作品(小説・コラム等)を検討することにより、その思想の本質を浮き彫りにしたい。
|
研究実績の概要 |
次年度(令和6年度)に研究成果として本を出版するために現在、準備を進めている。その最終確認として、ドイツにある「ドイツ文学資料館マールバッハ(Deutsches Literaturarchiv Marbach)」を3月4日から10日まで1週間訪問した。調査の中心は、19世紀後半の市民層を代表する女性運動家ヘートヴィヒ・ドーム(Hedwig Dohm)が女性の権利獲得のために、広く社会に発信する手段として書き下ろした文学作品とその受容である。 資料館では入手困難だった2次文献を見つけ、1894年に初めて発表した2つの短編小説『あなた自身になりなさい Werde, die du bist』『女性はどうなるのか Wie Frauen werden』の発表時の受容状況を確認することができた。さらに、それに続いて次々と創作した、当時の女性がさらされていた過酷な社会状況を主人公の人生に投影した『ジビラ・ダルマ― Sibilla Dalmar (1896)』『ひとつの魂のたどる様々な運命 Schicksale einer Seele(1899)』そして『クリスタ・ローラント Christa Roland (1902)』についても、いわゆる「アンチ・フェミニスト」たちの厳しい作品批評を見つけることができた。そして、ドームに対抗するアンチ派である男性知識層を代表するエルンスト・フォン・ヴォルツォーゲン Ernst von Wolzogen (1855-1934)が1899年に世に出した小説『第三の性 Das dritte Geschlecht』が掲載された雑誌の原本を見つけ、現代の再版では削除されていた挿絵を確認できたのは大きな収穫であった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
現在、本研究課題が遅れている理由は主に次の3点による。 1.令和5年度まで、当初はコロナ禍のため、ドイツへの渡航を自粛していたこと。 2.勤務先での管理業務の負担が大きく、研究への時間が十分に取れなかったこと。 3.昨年度に発行された教育学関連の共著の執筆、校正に時間を取られていたこと。
|
今後の研究の推進方策 |
令和6年度は本研究課題の最終年度であるので、計画書に記載したように、研究成果をまとめて、学術書(200ページ程度)を出版する。尚、ドイツ第1波女性運動のウェブサイト(女性運動家の紹介)についても着手する。
|