研究課題/領域番号 |
21K00437
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02040:ヨーロッパ文学関連
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
平手 友彦 広島大学, 人間社会科学研究科(総), 教授 (10314709)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2024年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | パリ / 通り名 / ジル・コロゼ / ガイドブック / Gilles Corrozet / 出版書籍商 / 中世 |
研究開始時の研究の概要 |
16世紀フランスの詩人ジル・コロゼによって出版されたパリ案内の書『古代の華』の成立と異同を分析し、当時ヨーロッパ随一の都市パリがこの「ガイドブック」によってどのように紹介されてきたかを考察する。そうすることで16世紀ヨーロッパ人が都市への旅において何を求めていたかが明らかになる。同時に、『古代の華』は複数のテクストで構成されていることから、写本文化から印刷文化に代わりつつある16世紀初頭のテクストの収集、借用、編纂のあり方の問題を、そしてガイドブックが当時のパリ地図などと合わせてどのように読まれてきたかという読書の問題も併せて検討する。
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研究実績の概要 |
1 2023年9月10日から10月2日までフランス国立図書館、パリ市歴史図書館、国立古文書館で、フランス16世紀の版本、中世の写本、パリの地誌に関する資料収集と調査を行なった。 2 ジル・コロゼの『古代の華』のガイヨ・ドュ・プレ版(1533年)の「パリの通り、教会と学寮の名」と『パリの通りと教会、日ごとの消費量』(8点の版本と3点の写本)の比較を行ない、コロゼが『古代の華』の通り名のリストに使用したのはParis BHVP 12-RES-0611とRES-LK7-26878の二つの版本のいずれか、あるいはこれらの版本の系統にあることを特定した。 3『パリの通りと教会、日ごとの消費量』以前にパリの通り名を一覧にする、ギルベール・ド・メッツ『パリ描写』(1434年)、1292年と1313年の人頭税徴収記録、『パリの通りのディ』と『パリの通りの詩』のパリ通り名の記述の変遷を辿り、パリの通り名を歌い上げる「伝統」が13世紀から16世紀まで続いていることを明らかした。 4 これらの一連の考察を通じて、ギルベール・ド・メッツが『パリ描写』の写本の中で通り名をすべて一覧にしてパリを理解しようとしたのと同じように、ジル・コロゼはパリ案内書『古代の華』の中でパリの大きさを具体的に理解させるためにすべての通り名を一覧にしたと結論づけた。これはパリの地図が存在しない時にできる都市パリを表す最大限の表現であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
フランス16世紀の版本、中世の写本、パリの地誌に関する資料を順調に収集し、ジル・コロゼの『古代の華』の出発点である1532年ジャノ版(初版)とデュ・プレ版の分析を終えたのちに、後者の特徴であるパリの通り名のリストの変遷を13世紀まで遡って検討することができたから。
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今後の研究の推進方策 |
ジル・コロゼの1532年の初版『古代の華』と『古代の華』改訂版の『パリの古代、歴史、栄誉』Les Antiquitez, histoires et singularites de Paris(1550年)、さらにその加筆版『パリの古代、年代記、栄誉』Les antiquitez, chroniques et singularitez de Paris(1561年)との比較を行なって、コロゼが世に残そうとしたパリの案内書がどのようなものであったを明らかにする。
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