研究課題/領域番号 |
21K00438
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02040:ヨーロッパ文学関連
|
研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
大須賀 沙織 東京都立大学, 人文科学研究科, 准教授 (50706653)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
|
キーワード | 聖顔 / ヴェロニカ / 受難 / 十字架の道行き / 聖骸布 / 信心会 / 兄弟会 / ジョルジュ・ルオー / コンフレリ / キリスト / 聖顔布 / カルメル会 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、受難のキリストの「聖顔」に対する信心がフランスにおいてどのように形成され、継承されてきたかを探るものである。①中世から19世紀にかけて、生成、継承されたヴェロニカの伝承の文献調査を行う。②15-17世紀、ナントとレンヌを中心に醸成されたヴェロニカの信心会の現地調査と文献調査を行う。③19世紀、トゥールのカルメル会修道女に啓示され、リジューのテレーズによって受容され、普及した聖顔の信心の文献調査と霊的意味の分析を行う。④詩人ポール・クローデルと画家ジョルジュ・ルオーにおける聖顔とトリノの聖骸布の影響と作品への反映を考察する。以上の課題に取り組み、各年度、論文にまとめ公開する。
|
研究成果の概要 |
①論文「トリノの聖骸布とヴェロニカの聖顔布についての覚書―福音書から受難劇まで」(2022)により、聖顔布をめぐる伝承の生成過程を明らかにした。福音書、聖書外典、受難詩、受難劇を考察対象とした。 ②論文「ナントの聖ヴェロニカ兄弟会とトゥールの聖顔の大信心会―受難のキリストを見つめる霊性の地域的展開」(2023)により、聖顔に根差す中世の兄弟会と近現代の信心会の実態を調査比較し、信心の手引書と出版物の概要を示した。 ③論文「ジョルジュ・ルオーにおける聖顔とヴェロニカ覚書―信仰と文学をめぐって」(2024)により、《聖顔》の連作の概要と変遷を調査し、ルオーの信仰とその周辺の文学者たちの影響を考察した。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究では、傷ついたキリストの顔を見つめ、受難の神秘に浸透しようとする霊性が、フランスでどのように生成され、展開してきたか、歴史的、文学的、図像学的側面から調査分析がなされた。①聖骸布と聖顔布をめぐる伝説が、福音書から受難劇まで、さまざまなヴァリエーションを生みながら継承された流れが示された。②中世の「聖ヴェロニカ兄弟会」と、近現代の「聖顔の大信心会」という、ローカルでマイナーな、しかしナントとトゥールでは重要な歴史の一面が示された。手引書の概要と出版物目録により信心史の具体的側面が示された。③《聖顔》を描きつづけた画家ジョルジュ・ルオーの信仰と作品への反映、特殊な文学的環境が明らかにされた。
|