研究課題/領域番号 |
21K00440
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02040:ヨーロッパ文学関連
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研究機関 | 北海学園大学 |
研究代表者 |
北原 寛子 北海学園大学, 経済学部, 教授 (60382016)
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研究期間 (年度) |
2024-01-17 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2023年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | ドイツ文学 / ビルドゥンクスロマン / Bildungsroman / 教養小説 / 小説理論 / Bildung / Bildungsgeschichte / 18世紀ドイツ / 19世紀ドイツ / テクスト / 教養小説 Bildungsroman / 18世紀 / 19世紀 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、18世紀後半に盛んに議論された個人のBildung(成長)論が、当時発表された詩人の伝記を通して、同時期の小説理論とともに19世紀前半のBildungsroman概念の発展に大きな役割を果たしたという仮説に基づいて実施される。研究の結果として予想されるのは、ディルタイの果たした役割がこの概念の発明者から継承者へと変化することである。 18世紀後半から19世紀前半に発表された詩人の伝記を収集し、どのような用語がどのような意味で用いられているのかを分析する。そしてこれらを当時の小説理論の用語や議論展開と比較するとともに、並行して当時の歴史学の状況も考察する。
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研究実績の概要 |
ドイツで文学のみならず広く社会全般で19世紀後半から20世紀後半までの重要な役割を担うBildungsroman(「教養小説」)は、フリッツ・マルティーニによる1961年の論文で19世紀初頭のモルゲンシュテルンの論文に最初の使用例があることが確認されている。その後この概念が文学研究で普及するのは、ディルタイが1870年に発表した『シュライヤーマッヒャーの生涯』に使用されてからである。ディルタイがモルゲンシュテルンの論文を知っていたという形跡はない。では、この用語は多元発生的とはいえ、ディルタイによる独自の創出だったのだろうかーこの問いを明らかにしつつ、さらに19世紀初頭のドイツにおける小説のとらえられ方を考察するのが本研究のテーマである。 本年度の本研究では、Bildungsromanの類義語Bildungsgeschichte(「教養の歴史」「形成の歴史」)が18世紀末のいくつかのテクストで使用されていたことを確認することができた。たとえばヘルダーやフリードリヒ・シュレーゲルがBildungsgeschicteを頻繁に使用している。ただし、BildungsromanのBildungは個人における人格陶冶に焦点があるのに対して、ヘルダーやシュレーゲルではとある民族がどのように形成されたのかという大きな人類史的な視点から検討する議論の過程で使用されており、本質的な意味が異なっていることも確認できた。 本研究の成果は、次年度以降の研究成果とあわせて単著として発表を予定しているため、論文での発表は控えている。
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