研究課題/領域番号 |
21K00457
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02050:文学一般関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
好井 千代 大阪大学, 大学院人文学研究科(人文学専攻、芸術学専攻、日本学専攻), 助教 (90200930)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | アメリカ文学と生命科学 / エドガー・アラン・ポー / 神経科学 / 病原菌説 / ヘンリー・ジェイムズ / 文理融合 |
研究開始時の研究の概要 |
文学研究と生命科学の共通性を考察する本研究は以下の内容で実施される。まず、生命科学の主要な3領域、即ち、幹細胞研究(様々な細胞になりうる未分化の幹細胞を研究)、エピジェネティクス(周囲の環境で発現方法を変える遺伝子を研究)、脳科学(脳の働きを研究)における「生命の可塑性」の基本的概念を明らかにして、それらの概念が19世紀の科学界に既に存在したことを明らかにする。次に、この時代の小説家ヘンリー・ジェイムズが自らの作品でそれらの生命科学の知見に極めて近い可塑的な生のあり方を描いたことを明らかにする。この考察によって、文学が生命科学と同種の生命観を共有し、生命科学と緊密に繋がることを提示する。
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研究実績の概要 |
2022年度は、まず、4月9日にハイブリッド形式でアメリカで開催されたエドガー・アラン・ポー国際学会にオンラインで参加して発表した。発表内容は、本研究のテーマである、文学と生命科学のインターフェイスについて論じる内容で、具体的には、ポーの小説が同時代の感染症をめぐる医学研究といかに密接に関係しているかを発表した。この発表は、 他のアメリカ人発表者やセッション・オーガナイザーから“your paper is fascinating”などの高い評価の声をいただいた。そして、この発表は、「ポーと科学」というテーマで開催された一連のセッションの中で行なったが、このセッションの中の数本の発表を、2024年発行予定のアメリカのポー学会Poe Studies Associationの機関誌Poe Studies(Johns Hopkins University Pressから発行)の「ポーと科学」特集号に掲載することになり、私の発表もその特集号に掲載されることが決まった。2022年度の後半は、その特集号に掲載される予定の論文の執筆に取り掛かかり、現在は、ジャーナルのエディターや、特集号のゲスト・エディターからの詳細なreviewを受けつつ、revisionを繰り返していて、完成度の高い論文へ段階的に仕上げている。このような論文掲載へのプロセスは、日本の文系ジャーナルの場合とは全く異なっていて、その点でも大変良い勉強になっている。また、以前から関心のあった神経科学と人文学の融合研究も少しづつ準備を始めていて、国内外の神経科学の研究者および神経科学に関心のある人文系研究者とのネットワーク作りも進み始めていて、この国際ネットワークを今後は実際の研究開始へと繋げてゆきたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究は概ね順調に進んでいると言える理由は主に、以下の3つである。 1。まず、エドガー・アラン・ポー国際学会で発表して、高い評価を得た。 2。上記の発表が、アメリカのポー学会の機関誌への掲載論文に発展することが決定した。 3。国内外の神経科学者および神経科学に関心のある人文系研究者とのネットワーク作りが進み、本研究課題がより大きなプロジェクトに発展する可能性を作ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
まず、2023年7月に、ヘンリー・ジェイムズ国際学会で、ジェイムズの小説と読書に関する神経科学研究のつながりを発表するので、その準備をしたい。並行して、アメリカのポー学会の機関誌に掲載予定の論文について、エディターたちのreviewを経た、外部reviewerたちの査読がまもなく始まるので、その論文のブラッシュアップをすることになる。さらには、国内外の神経科学および神経科学に関心のある人文系研究者との共同研究の計画もあり、こちらのプロジェクトの実現へ向けて、キックオフ・イベントとしての国際シンポジウムの開催も検討している。
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