研究課題/領域番号 |
21K00458
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02050:文学一般関連
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研究機関 | 奈良女子大学 |
研究代表者 |
磯部 敦 奈良女子大学, 人文科学系, 教授 (00611097)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2024年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | 出版史 / 書籍文化史 / 印刷史 / 地方史 / 出版史料 / 史料論 / 郷土史 / 流通史 / 書店史 / 地域史 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、(1)奈良県内にかつて所在した印刷所や出版社、書店や新聞取扱店等を一覧化した「近代奈良県書物文化環境一覧」の増補訂正をおこなうこと、(2)これまでの調査で明らかになった重要人物や重点地域、具体的には奈良市の後藤輯や森田徳松、御所の岸宣美、三輪の木村伊三郎、五條の高橋直吉らについて個別の調査を進め、地域での役割、地域を越えての連携の有無を明らかにしていくことを研究の柱としている。 こうした諸文献の調査と分析をとおして近代奈良県における書物文化環境を明らかにするとともに、史料へのアプローチや史料そのものの有効性と限界といった方法論それ自体の可能性についても考察していく。
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研究実績の概要 |
2023年度の研究計画は、(1)「近代奈良県書物文化環境一覧」データの訂正増補と公開、(2)諸文書の調査、の2点であった。また、(3)2021年度より調査を開始した豊住書店史料について、分析結果を発表する計画でもあった。 (1)「近代奈良県書物文化環境一覧」について、最新版のテキストデータをResearchMap上で公開した(2024年3月21日付)。今年度は、特に謄写版(ガリ版)に注力した。謄写版は、印刷所に依頼せずに自前で複製を作成できる簡便な印刷方法であるがゆえに、方々に散在する同好の士たちとの寄贈が盛んに行われていた。他地域との交流を考察する上で、重要な指標となるものである。 (2)諸文献の調査について、今年度は奈良県田原地区の青年団が昭和期に発行していた地域紙『月刊田原』の撮影と、奈良県吉野郡下北山村に所在する下北山村歴史民俗資料館所蔵の近代文書の閲覧と撮影を行った。田原地区は、西は奈良市に隣接し、東は名張や伊賀上野へと通じている地区である。情報流通の観点からの分析は次年度に行う。もう一つの下北山村は、行政としては五条代官の管轄にあったが、物流としては和歌山県北山村や三重県熊野市と関わりが深い地域である。分析は最終年度に行う。 (3)桂雲堂豊住書店は、かつて奈良に所在した本屋で、その史料が豊住書店史料として伝わっている。今年度は、明治10年代の蔵版書籍目録と板木購入文書を分析した。明治8年の改正出版条例によって出版が届出制となり江戸期以来の板株概念が消失した。そのなかで板株を物理的に担保していた板木を大量に購入するとはどういうことか。蔵版書籍目録と板木購入文書を分析して具体的な購入状況を検討し、日本出版学会秋季研究発表会(2023年12月2日、於同志社女子大学)で報告した。それをふまえて論文化し、査読雑誌に投稿、受理された。公開は2024年7月頃の予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画通りに調査を行い、分析結果を学会で報告、論文も査読誌に投稿し受理された。
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今後の研究の推進方策 |
計画通り、(1)購入や閲覧等で入手した史料を反映した「近代奈良県書物文化環境一覧」の増訂版を作成し、年度末にResearchmap上に 公開する。(2)2023年度に調査した諸史料を出版史や印刷史、書物交流などの視点から分析し、研究成果を公開する。
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