研究課題/領域番号 |
21K00464
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02050:文学一般関連
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研究機関 | 立教大学 |
研究代表者 |
野田 研一 立教大学, 名誉教授, 名誉教授 (60145969)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 言語風景 / 視点 / 言語の視覚化 / 遠近法 / 反散文 / 反散文論 / 単一音調的散文 / 印刷革命 / 声の文化 / 視の制度 / 凝視 / 一瞥 / 均質空間 / 移動 / 〈視〉の制度 / equitone |
研究開始時の研究の概要 |
近代以降の文学作品が描き出す〈風景〉の構造や仕組みを分析する。言語による〈風景〉描写における最大のポイントは〈視点〉という概念とその言語化である。この概念には絵画における線遠近法、透視図法的な対象世界の見方、把握の仕方が深く反映されている。本研究は、近代的な視覚文化の一環として重要な言語表現における〈視点〉の問題を、歴史的に把握するため、印刷革命による言語の視覚化を歴史的に問い直す試みである。
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研究成果の概要 |
本課題の主題は、文学における風景表象の形式性と歴史性の解明を主な目的とする言語風景論である。初年度には「固定された視点」の問題を主に検討し、2年目には文学及び風景画の両面に作用している遠近法の理論的問題を考究した。2年目の後半には、新たな概念として 「反散文」の問題に着手し、印刷革命による「均等分割の原理」(マクルーハン)および「言語の視覚化」を批判的にとらえる「反散文論」を提起するに至った。 3年目に、 論文集『耳のために書く 反散文論の試み』(水声社)を刊行し、言語風景論は近代散文の構造と不可分であり、両者が遠近法と活版印刷という近代的な〈視〉の制度に深く根差していることを明らかにした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究における第一の成果は、文学・言語における「風景」(landscape)という概念が、近代的な出来事であることの確認である。近代的と判断する根拠は、それが線遠近法に基礎づけられた絵画的概念に由来することにある。近代西欧における風景画の登場を基礎づけた遠近法、その文学への適用が「言語風景」(verbal landscape)である。第二の成果は、遠近法が活版印刷の進展とも密接な理論的・実践的関係を有していたという点で、遠近法と活版印刷との交点が近代散文の成立として明確化されたことである。その結果、風景画と言語風景の共通の基盤を「遠近法的なるもの」すなわち「視点」であると確認することができた。
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