研究課題/領域番号 |
21K00470
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02050:文学一般関連
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研究機関 | 青山学院大学 |
研究代表者 |
辻 吉祥 青山学院大学, コミュニティ人間科学部, 准教授 (50409588)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 優生学 / 疫病 / ルポルタージュ / 貧民窟 / 英日比較 / 日英比較 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、研究者の日本文学にとどまらない外国語力を生かし、従来研究が限定的であった英国・日本の劣位に置かれた人間に関する記録文学・ルポルタージュを再審に付すことで、その歴史的でかつ現在的な諸問題を、国際的な視野と文献のもとに、深く考究するものである。これは20世紀最大の問題の一つ――「文学的近代性と優生学」「生産性なき人間は滅すべきなのか」という問題に、根本的な視座を提供しつつ解答を与えるものである。
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研究成果の概要 |
本研究では、英国・日本の劣位に置かれた人間に関する記録文学・ルポルタージュが再審に付され、そこに現出している貧困の歴史的にして現在的な諸問題が、国際的な視野と文献の下に考究されている。三年間を通じ、英・日のジャーナリストが残した都市の貧民窟の記録について手広く調査、地道な解読の作業をおこない、貧困という階級(概念)の内実を、歴史過程に即してのみならず疫病対策/公衆衛生を含む生物への環境条件という視座からも、検分することができた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
日本の歴史的な西欧資本制への追随のありようは、その放恣を下支えした困窮階級の実態分析においても不十分であり続けている。この度の研究は、従来の階級分析、とりわけスラム住人の生活様態の解析に欠落していた同時代の疫病の度重なる猖獗、公衆衛生的隔離または優生学的分断の要因を(英国ルポとの比較考量から)組み入れたことによって、連帯もしくは団結へと成就されにくい集合性のあり方への深い理解とあらたな克服の方途を示唆しえた点に歴史的また今日的意義があると思われる。
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