研究課題/領域番号 |
21K00477
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02060:言語学関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
佐久間 淳一 名古屋大学, 人文学研究科, 教授 (60260585)
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研究分担者 |
入江 浩司 金沢大学, 歴史言語文化学系, 教授 (40313621)
當野 能之 大阪大学, 大学院人文学研究科(外国学専攻、日本学専攻), 准教授 (50587855)
大辺 理恵 大阪大学, 大学院人文学研究科(外国学専攻、日本学専攻), 講師 (80648949)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | パラレル・コーパス / 微視的類型論 / 機能主義 / 地域言語学 / フィンランド語 / スカンジナビア諸語 / バルト語 / 否定 / バルト海周辺諸語 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、バルト海周辺諸語のそれぞれについて、否定を表す要素の出現位置や共起関係が意味解釈に及ぼす影響を、文脈や情報構造を参照しつつ、機能主義的観点から解明するとともに、当該の事象について、微視的類型論および地域言語学的観点から、研究対象となるバルト海周辺諸語間の対照研究を行う。また、本研究によって得られたバルト海周辺諸語に関する考察結果を踏まえて、否定に係る一般的な言語理論に対し修正や拡充の提案を行うとともに、否定が「語り」の組織化に果たす役割を解明することにより、機能主義的な統語理論の精緻化に貢献する。
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研究実績の概要 |
本研究では、対象言語(フィンランド語、エストニア語、アイスランド語、リトアニア語、ロシア語、デンマーク語、スウェーデン語等)のパラレル・コーパスを活用することとしているが、平成29年度~令和元年度(新型コロナウィルス感染症のため令和4年度まで延長)に補助を受けた別の科学研究費課題で作成した『星の王子さま』のパラレル・コーパスのみでは本研究の遂行に十分でないため、昨年度に引き続き今年度も、『ハリー・ポッターと賢者の石』のパラレル・コーパス作成作業に取り組んだ。 昨年度は、作成したコーパスデータに基づき、各言語における否定表現の中から、本研究で主として考察の対象とする統語事象を選定したが、本年度は、当該の統語事象について、言語類型論の立場から否定表現の分類をした論文(van der Auwera & Krasnoukhova (2020) The typology of negation.)等を参考にしつつ、調査、検討、考察を行った。具体的には、「否定の副詞」または「否定を含む代名詞」など「否定を表す要素」が各言語でどのように使われているかを調査するとともに、特に、非標準的な否定(否定の強調、局面の否定、否定の命令、存在の否定、不定代名詞による否定など)に着目し、各表現手段の言語間に見られる異同について整理した。また、否定と語順の関係、および否定のスコープに関する調査も合わせて行った。 研究代表者、研究分担者、研究協力者による定期的な研究打ち合わせは、新型コロナウィルス感染症のため、オンラインで行うとともに、随時、メール等で情報共有を図った。本年度中に予定していた海外現地調査については、引き続き、海外渡航が困難な状況にあったこと、およびウクライナにおける紛争の影響が懸念されたことから、次年度に持ち越すこととした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和4年度の当初計画では、海外における現地調査を予定していたが、新型コロナウィルス感染症が未だ収束せず、また、ウクライナにおける紛争の影響により、令和3年度に引き続き海外調査を行うことができなかったため。また、研究分担者のうち1名に、研究に従事できない事情が生じたため。
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今後の研究の推進方策 |
次年度はまず、令和3年度、4年度に実施することができなかった現地調査を行う。調査に際しては、特定の否定表現に関して他の表現で代替することが可能かどうか、当該の表現に関して語順を変えた場合、意味上何らかの違いが生じるかどうか等について、母語話者から聞き取りを行う。状況により、オンラインによる聞き取りも併用する。さらに、調査結果の分析、考察を通して、否定を表す表現の各言語における分布、言語間の異同、各言語の特徴等を機能主義言語学、微視的類型論および地域言語学的観点から明らかにする。また、次年度が本研究課題の最終年度に当たることから、調査及び考察の結果をまとめるとともに、学会において研究発表を行う。
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