研究課題/領域番号 |
21K00478
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02060:言語学関連
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
福岡 昌子 三重大学, 国際交流センター, 教授 (70346005)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 日本語教育 / 音声 / 第2言語習得 / 破裂音 / 北京語 / 上海語 / 韓国語(ソウル方言) / 北京・上海・ソウル |
研究開始時の研究の概要 |
①中国語や韓国語話者は、日本語の破裂音の知覚や生成が難しい。北京語(有気・無気)や日本語(有声・無声)は2項対立、上海語とソウル語は3項対立(有気・無気・有声)と、言語間における破裂音の違いが、日本語習得に影響すると言われている。 ②本研究では、北京・上海・ソウル・日本語話者の破裂音生成時の声門動作における緊張性発声コントラストについて、EGG (電気声門図記録)を使って類似性・差異性を探る。EGGパルス指標およびEGGパルス波形が、発声認識とどのように関連するのか、EGG波形による声門開放時間率や声門閉鎖時間率について、EGG-OQ解析 Praatスクリプトを使って分析する。
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研究実績の概要 |
●2022年度:1.科研による関連論文を執筆したが、関係学会へ送付したが採択されなかったため、別の学会へ提出した。 2.本研究の成果として、2023年8月の第26回AJEヨーロッパ日本語教師会シンポジウムで研究発表の申込みをし、採択を受けた。 3.2の研究成果の概要を下記に述べる。「母語に有声破裂音がない北京語母語話者は、語中の範疇知覚では日本語母語話者との間に0.1%~5%未満の有意確率による差があったが、語頭では有意差は殆どなかった。語頭の日本語の有声破裂音は、北京語母語話者にとってL1音からの聴覚的音声距離が大きいと認識され、新しい言語音として知覚されていたことが示唆される。一方、母語の語中に有声破裂音がある韓国語(ソウル方言)母語話者は、語中の範疇知覚では有意差は殆どなかったが、語頭では全刺激音で0.1%未満の有意確率による差があった。韓国語(ソウル方言)母語話者にとって、語頭ではF0の高低差がなかった日本語破裂音の場合、有声と無声の範疇化の妨げになることが示唆された。」 4.以下の①の調査結果に基づき、統計を行った。①既に調査を実施した4言語別のEGGによる声門開放時間率(OQ)を中心にデータを言語別、語頭・語中別に分析する。下記の調査項目参照。a.日本語母語話者:例 語頭:「ぱ」です。「ば」です。 語中:「あぱ」です。「あば」です。b. 北京方言話者:例 語頭:(/pha/)、(/pa/)、語中:(/apha/)、(/apa/)、c.上海方言話者: 例 語頭: (/pha/)、(/pa/)、 語中(/apha/)、(/apa/)、(/aba/)、d.ソウル方言話者:例 語頭:激音(/pha/)、濃音(/ppa/)、平音(/pa/)、語中:激音(/apha/)、濃音(/appa/)、平音(/aba/)②日本語の有声・無声破裂音、北京語の有気・無気破裂音、上海語の有気・無気・有声破裂音、韓国語の激音・濃音・平音について、言語別、語頭・語中別にOQ値、CQ価、Fo値を出し、統計上の違いを示していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
1つ目の関連論文の採択を目指しているが、目標が達成できないため。
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今後の研究の推進方策 |
●2023年度1.第26回AJEヨーロッパ日本語教師会シンポジウムで発表を行う。2.論文化を進め、論文採択を目指す。3.実験結果の統計方法を幾つか検討する。追加実験について検討し実施する。 ①EGGを使った先行研究および他言語を対象とした先行研究との比較・分析を行う。②統計結果をもとに、統計方法の検証および考察を行い、比較結果に関する論文化を行う。③日本語学習者の母語干渉の強い緊張を伴った破裂音をどのように発音指導をすれば、緊張性を解き声帯振動を伴った有声破裂音が生成できるようになるか、音響的な追加実験で再検証する。
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