研究課題/領域番号 |
21K00486
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02060:言語学関連
|
研究機関 | 神田外語大学 |
研究代表者 |
平 香織 神田外語大学, 外国語学部, 教授 (40389614)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
|
キーワード | 朝鮮語 / 終結語尾 / 不快感 / 命令形 / 言語的配慮 / 不快さ回避 / 命令・禁止形式 / 察し |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は,年齢や社会的関係が言語使用に大きく影響する朝鮮語を取り上げ,どのような言語形式の使用やコミュニケーションスタイルが不快さを引き起こすのかを明らかにすることを目的とする。具体的には,(i)命令・禁止形式の使用と不快度の関連を調査し,(ii)間接的な表現によって相手に察しを求めるコミュニケーションスタイルに対する不快さと許容度の関連を考察する。そして,(i),(ii)の結果を基に不快さ回避のためのモデル構築を目指す。
|
研究実績の概要 |
本研究課題は朝鮮語をモデルとして,どのような言語表現が人を不快にさせるのかを明らかにすることを目的としている。研究2年目にあたる2022年度は,朝鮮語の-nyakoを取り上げて分析を行った。-nyakoは,①繰り返しの問いを表す終結語尾,②疑問の間接引用節に使用される形態(『標準国語大辞典』)であり,本研究では①を対象として談話における出現位置と相手に与える不快感の関連性について考察した。 談話における終結語尾-nyakoの特徴として,1)[話者交代が行われる対話]において,話し手によって質問が繰り返される際に使用される-nyakoは,望んでいる答えを話し手が一度で得られなかった時に現れる。この使用は,話し手の質問に相手がすぐに答えられなかったことを意味するため,配慮が必要な関係では現れにくい。2)[話し手の連続した発話]でも話し手が質問を繰り返す時に-nyakoが使われるが,この時の-nyakoの発話には話し手の不満や不平が現れる。3)話し手が矢継ぎ早に質問する状況で,最後の発話に-nyakoが使用される場合には,-nyakoの発話の前に現れる質問が,話し手の考えや意見の妥当性を高める役割をしていることが明らかとなった。 -nyakoの使用と話し手の不満表明,聞き手の不快感との関係を調べるため,上記の考察結果を基に韓国語母語話者を対象としたアンケート調査を実施した。その結果,[話し手の連続した発話]における-nyakoの使用は,特に話し手の不満が示されやすいこと,そして-nyakoを使用した話し手の不満表明が相手を不快にさせる可能性が高いことが明らかとなった。 この他,これまで考察してきた話し手の心的態度を表す終結語尾に関して,当該形態を使用しないことによって相手を不快にさせる事例の調査,また,同一形式でありながら抑揚によって不快さが表される形式の調査に着手している。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022年度は勤務先の研究助成を受けた在外研究期間であったため,2022年度の予算を執行できなかった。当初予定していた間接的表現を用いて察しを求める際の不快さと許容度に関するアンケート調査に着手できず,やや遅れが生じている。この調査は2023年度に行う予定である。
|
今後の研究の推進方策 |
間接的表現を使った目的達成のための例文について韓国語母語話者のチェックを受けた後,ただちにアンケート調査に取りかかる予定である。例文を検討する中で,同一形式であっても抑揚によって不快さを与える可能性のある形式が見られた。そのため,抑揚の違いも視野に入れた調査を行う予定である。
|