研究課題/領域番号 |
21K00490
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02060:言語学関連
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研究機関 | 関西外国語大学 |
研究代表者 |
後藤 リサ 関西外国語大学, 英語国際学部, 准教授 (00712100)
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研究分担者 |
鹿野 浩子 自治医科大学, 看護学部, 講師 (50806271)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 臨床面接 / 初対面会話 / 共感的コミュニケーション / ラポール構築 / 医学生 / 専門看護師 / エコー性 / 笑い / 質問-応答 / 医療談話分析 / 情動 / 語用論 / 医療場面の会話 / 談話分析 / 質問文発話 / 共感構築 / 認知語用論 |
研究開始時の研究の概要 |
医療現場の「質問―応答」のインタラクション、特に、患者のネガティブな情動を伴う発話の分析に光を当て、(1)患者の情動発話に対する医療者の解釈、(2)医療従事者と患者が共感を得ていく過程、(3)共感の構築において適切に機能した質問のタイプを明らかにすることが本研究の学術的問いである。 本研究では、疑問文発話が本来もつ「問いかけ」「確認」「依頼」の機能とネガティブな情動(怒りや不安等)との相互作用を分析する。情動それ自体がもたらす認知的効果が共感構築の一連の認知過程に与える影響を、認知語用論の解釈理論を用いて分析し、その言語学的アプローチを医療現場に還元する試みである。
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研究実績の概要 |
本研究では、自治医科大学、ハワイ大学医学部で収録した日本語とアメリカ英語の2言語による臨床面接コーパスデータを用いて、語用論的見地から共感的コミュニケーションの分析を行っている。令和5年度の主な研究活動内容は以下の通りである。 (1)昨年度より引き続き、アメリカ英語による臨床面接コーパスデータから、「笑い」および「笑いを伴う発話」を抽出し、共感の構築における「笑い」の役割を明確にすることを目的とした量的・質的分析を行い、参与者たちの言語・非言語行為が「笑い」といかに関連づけられるかを主軸とした考察を行った。医学生と模擬患者それぞれの笑いの発現が、共感的コミュニケーションの成功に紐づけられる事例が多数見られ、この点は先行研究においてもほとんど例がないことから、特筆すべき成果である。 (2)日米の臨床面接における会話参与者の社会的関係や役割に関連する言語的特徴を明らかにすることを目的として、日本語と英語の臨床面接会話データを用いて比較的に分析を行った。日本およびアメリカの医学生、専門看護師が臨床面接をどのように開始したか、誰が会話を開始したか、どのような発話がなされたか、模擬患者との良好な関係をどのように維持しようとしたか、といった点について考察を行い、ラポールを構築し信頼関係を築こうとする参与者たちの行為に見られる日米での相違点を明らかにした。 今年度の締めくくりとして、ハワイ国際教育学会において上記(1)および(2)の研究成果を発表した。また、臨床面接データをご提供いただいたハワイ大医学部がんセンターのBerg教授を訪ね、臨床面接の授業における教育内容の詳細を伺った。学生らが十分な準備期間を経て臨床面接に臨めるようなきめの細かいプログラムが組まれており、その高い教育内容を実感する訪問となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究活動開始時期がコロナ禍の時期と重なり,倫理審査を経てデータ収集を行う過程に遅れが生じていたため、言語資源のトランスクリプト化にやや遅れが生じていた。しかしながら、今年度初めにはそれらのデータもすべて揃い、日米語の比較分析を行う準備が整ったため、一部分析を国際学会において公表した。また、英語の臨床面接データをご提供いただいたハワイ大学への訪問を今年度末に終えられたことも幸いであった。
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今後の研究の推進方策 |
次年度も引き続き、日米語の比較分析を行うが、最終年度となる次年度は、研究成果を医療コミュニケーション関連の専門誌への投稿、および書籍等により随時公表する予定である。
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