研究課題/領域番号 |
21K00492
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02060:言語学関連
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
中野 陽子 関西学院大学, 人間福祉学部, 教授 (20380298)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 類似性の効果 / 促進性干渉 / 日本語 / 意向形 / 規則の適用 / 機械学習 / 形態的複雑語 / 産出 |
研究開始時の研究の概要 |
語には形態素と呼ばれる意味の最小単位が複数集まってできているものがある。このような語は形態的複雑語と呼ばれている。形態的複雑語がどのような仕組みによって生み出されるのかについて提唱されているシステムはあるが、まだどれが働いているのかについてはよく分かっていない。特に日本語に関する研究が乏しいため、日本語母語話者や日本語学習者の協力を得て認知心理学的実験を実施し、機械学習のプログラムから得られる出力を基にして、日本語における形態的複雑語の産出の仕組みを明らかにする。
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研究実績の概要 |
令和4年度は日本語学習者からもデータを収集した。手法は日本語母語話者と同じ方法を用いるが、日本語の能力を調べるために日本語の能力テストを実施した。結果は分析中である。また、新造動詞の活用形産出では、まず新造動詞の種類(カテゴリー)の分類が行われることが考えられる。カテゴリー分類についての文献調査の結果、①規則に基づいて分類される考え方、②既存の知識との類似性に基づいて分類する考え方、③類似性に基づいてはいるが、基本形をカテゴリーに分類することなく、直接、活用形が産出される可能性もあることが示唆され、それぞれに機械学習用プログラムが作成されていることが分かった。特に②に関連する機械学習用のプログラムを検討した。 英語の文では、主語名詞と本動詞の文法上の数を一致(統語的一致)させる。その際、名詞や動詞の活用形が使用される。”The tree near the pond(s) were planted happily by an old lady.” のような文は非文であるが、主語名詞句内の前置詞句にあるpondが複数形であるときは母語話者でも非文であることにきづかず、pondが単数形の時よりも、容認度が高くなったり、読み時間が速くなったりする促進性の効果を持った類似性による干渉が起きることが知られている。促進性干渉を調べることは文中での活用形の役割を考える上で参考になる。そこで、英語の母語話者と日本語が母語の英語学習者に時間制限のある容認性判断課題を実施して促進性干渉が起きるかどうか調べた。その結果、両者で促進性干渉が見られたが、非文では母語話者と学習者に容認性判断値に差が見られなかったが、主語名詞がThe trees near the pond(s)の様に正文では、学習者の方が母語話者より有意に低くなる違いが見られた。この結果は、令和5年度の国際学会の口頭発表に採択された。また、日本語についても同様の実験を行っている。母語話者の結果は、国際学会で発表された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍の影響のためか実験協力者の募集に時間が掛かってしまい遅くなっている。
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今後の研究の推進方策 |
(1)Examplar-similarity modelに基づいたカテゴリー分類のための機械学習用プログラムを適用して調査を行う予定である。 (2)日本語学習者から意向形に関して得られたデータの分析を進め、その結果を学会発表に応募したり、学術雑誌に投稿して発表する予定である。
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