研究課題/領域番号 |
21K00495
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02060:言語学関連
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研究機関 | 室蘭工業大学 |
研究代表者 |
塩谷 亨 室蘭工業大学, 大学院工学研究科, 教授 (10281867)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2025年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2024年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2023年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2022年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2021年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
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キーワード | ポリネシア諸語 / 前置詞 / 属格 / 所有 / 行為者 / 主語 / 目的語 / ハワイ語 / タヒチ語 / サモア語 / 対照研究 |
研究開始時の研究の概要 |
ポリネシア諸言語の同語源の前置詞を比較すると、意味や用法が類似している事例がある一方で、同語源なのに現在の用法が大きく異なっている事例、ある言語では二つの異なる前置詞が担っている機能を別の言語では一つの前置詞が担っている事例など、差異が見られる場合がある。さらには、基本的な用法は一致しているのに、文中での位置による出現頻度に差異が見られる事例もある。本研究では、ハワイ語、タヒチ語、サモア語の三つのポリネシア諸語における各前置詞の意味・用法・分布の対照を行い、どこで合致が見られどこで差異が見られるか分析する。そして、各前置詞が元々持っていた根源的な意味としてどのようなものが想定されるか考察する。
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研究実績の概要 |
コロナ禍による渡航制限及び図書館等の利用制限により前年度まで控えていた米国ハワイ州の大学図書館等における文献や言語テキストの資料収集によるデータ拡充を行った。しかしながら、飛行便の運航再開遅れ等により仏領ポリネシアでの資料収集は今回も見送りとなったため、収集できた資料の範囲で、様々なポリネシア諸語の辞書・文法書等の先行研究資料、及びハワイ語、サモア語、タヒチ語の言語データ資料を基に、属格を表す前置詞及びそれと関連付けられる前置詞について、それぞれのポリネシア諸語がどの形式を用いているか、また、それらの前置詞が所有に加えてどのような意味を表すか考察した。 属格を表す基本的な前置詞はaとoであり、それぞれ、所有者が所有権を制御できる所有と、所有者が所有権を制御できない所有を表す。 これらの基本的な2つの属格の前置詞と関連付けられる前置詞として、ma、mo、na、noの4つがあるが、すべてのポリネシア諸語がこれら4つ全てを用いているわけではなく、4つのうちの一部を欠いている言語も多い。これらの前置詞は、所有以外に、所属、受益、出身地、由来、関連、行為者、原因・理由、移動経路・手段など、様々な意味を表すのに用いられる。それらの様々な意味が、中核的な二つの所有の意味、すなわち、所有者が所有権を制御できる所有と、所有者が所有権を制御できない所有とに関係づけて一定程度説明できることを示した。また、今回の分析に際しては、令和3年度に分析した場所、経路、随伴、変化を表す前置詞の用法の一部、及び令和4年度の分析対象に含まれた行為者を表す前置詞の用法の一部と重なる部分についても含めて扱った。 研究成果の一部を「ポリネシア諸語の二つの「の」(所有)とそこから派生する様々な意味について」として、北海道言語研究会第26回例会において発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
資料収集の点では、これまでコロナ禍で控えていた米国ハワイ州での資料収集によるデータの拡充を図ることができたが、同様に計画していた仏領ポリネシアでの資料収集が飛行便再開の遅れ等で実施できず、結果として、長期にわたり仏領ポリネシアでの資料収集ができていない状況となった。今回は、現有資料のみによる分析とし、後日今回得られなかった資料が入手できた際に、研究成果に必要な修正追加を行うこととした。当初予定していた作業として、属格の前置詞a及びoとそれらと関係する前置詞ma、mo、na、noの用法について、複数のポリネシア諸語間での対照を行い、令和3年度に分析した場所や経路を表す前置詞、令和4年度に分析した行為者を表す前置詞との関連についても扱うことができたので、おおむね順調と判断する。
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今後の研究の推進方策 |
令和3年度に分析した場所、移動、様態、随伴の前置詞、令和4年度に分析した主格、対格、行為者格等の文法関係を表す前置詞、令和5年度に分析した属格を表す前置詞に続いて、令和6年度は、中立格を表す前置詞について、ポリネシア諸語間の対照研究を行う。これまでの手順を踏襲し、辞書や文法書等の先行研究を基に、様々なポリネシア諸語の事例を概観し、ハワイ語とタヒチ語とサモア語については、収集した言語データから各前置詞の用例を抽出し、形式、意味、機能について分析し、対照を行う。また、令和6年度には、米国ハワイ州と国内図書館等での資料収集に加えて、様々な事情で令和5年度までに実施できていなかった仏領ポリネシアでの資料収集によるデータ拡充を行う。
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