研究課題/領域番号 |
21K00497
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02060:言語学関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
嶋崎 啓 東北大学, 文学研究科, 教授 (60400206)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | ドイツ語学 / 歴史言語学 / 文法化 / ドイツ語史 / 言語学 |
研究開始時の研究の概要 |
ドイツ語の未来形〈werdenの直説法現在+不定詞〉は元々未来の事態を表すが、それがどのようにしてEr wird krank sein.「彼は病気だろう」のような「現在の事態における推量の意味」を表すようになったかを初期新高ドイツ語期(1350~1650年)の用例の収集によって実証的に明らかにする。その際、法助動詞の認識的意味の発生との関連や、werdenおよび法助動詞が完了不定詞を伴う場合の意味の変化に注目して研究する。
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研究実績の概要 |
ドイツ語未来形における現在の事態についての推量を表す用法の歴史的発達が、法助動詞の認識的用法の発達と連動しているのではないかという問題設定から調査を始めたが、実際の用例を調べると、中高ドイツ語期においてすでに法助動詞の認識的用法が見られることが分かってきた。一方、未来形の現在の推量用法は16世紀に発達し、どんなに早く見積もっても、14世紀に遡ることはありえないので、両者が並行的に発達したわけではないことが明らかになった。しかし、完了不定詞を伴う用法は両者とも初期新高ドイツ語期に発達したことを考えると、そこには何らかの影響関係が存在する可能性があると思われる。法助動詞の認識的用法の発達から見れば、未来形の現在の推量用法は、完了不定詞を伴う用法の発達とは必ずしも連動しないことが予想されるが、法助動詞が完了不定詞を伴うようになったことが未来形の現在の推量用法の発達に影響を与えたということは考えられるので、法助動詞が完了不定詞を伴う用例と、未来形の現在の推量用法の用例と、未来形が完了不定詞を伴う用例の三つを付き合わせて考察することが必要であると考えられる。従って、中高ドイツ語の法助動詞の推量用法の用例の収集をある程度続けた上で一旦終わらせて、初期新高ドイツ語の用例収集に移ることを考えている。具体的には、聖書とTristrantとHans Sachsを素材として用例の収集および整理を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
法助動詞の認識的用法の発達の調査が容易ではないことが分かった。特に、直説法現在の用例だけではなく、接続法の意味が認識適用法の発達と関連している可能性があるため、接続法の用例も収集しなければならなくなったため、研究が予定よりもやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
法助動詞の認識的用法の発達が未来形の現在における推量の用法の発達と並行していないことが明らかになってきたので、両者の完了不定詞を伴う用例の収集に方向を移していく予定である。
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