研究課題/領域番号 |
21K00508
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02060:言語学関連
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研究機関 | 青山学院大学 |
研究代表者 |
澤田 淳 青山学院大学, 文学部, 教授 (80589804)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | ダイクシス / 敬語 / 敬語の加除 / テクスト / 文体 / 視点 / 『雪国』の英訳テクスト / 指示詞 / 日本語の歴史 / 対照研究 / 語用論 / 敬語史 / 文法 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、敬語を中心とする日本語のダイクシス表現に関する語用論的考察を行う。具体的には、相対敬語について新たな分類を提案し、その相対敬語の分類をもとに、敬語運用の歴史を記述する。さらに、敬語運用の歴史を、指示詞、直示授与動詞、直示移動動詞などの他のダイクシス表現の運用の歴史と接続し、一般化する。本研究の相対敬語の分類は、敬語史を精緻に記述することを可能にすると共に、方言や他言語の敬語運用の記述にも適用・応用が可能である。
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研究実績の概要 |
本年度の主たる研究実績の概要は次の通りである。
1. 敬語の加除(及び、呼称の切り替え)の操作によって、語り手が物語世界の登場人物を外的視点からも内的視点からも描写することが可能となっている点を、小説テクストをもとに論じた。敬語の本来的な機能は、上下関係など参与者間の社会的関係性の標示にあるが、敬語は、その加除によって、二次的に「視点操作」の機能を有しており、このような敬語の加除による視点操作は、源氏物語において先駆的に見出されるものである点を確認した(澤田淳(2024)「日本語の物語の文体と視点、敬語」『日本認知言語学会論文集 第24巻』)。
2. E・サイデンステッカーによる『雪国』の冒頭の英訳テクストについて、視点とダイクシスに注目して考察をおこなった。特に、『雪国』の英訳の冒頭部の一文(‘The train came out of the long tunnel into the snow country.’)について考察をおこない、この一文におけるcomeは、視点人物(島村)を乗せた移動主体(汽車)が到達点(雪国)に至ったことを表す「自己移動」のcomeであり、the long tunnelのlongは、汽車に乗車している視点人物(島村)が感じたトンネルの長さを表しており、定名詞The trainは、語り手の眼前に現れた汽車ではなく、視点人物(島村)を乗せて走行する汽車を指していると解釈される点を論じた(澤田淳(2024)「川端康成『雪国』の英訳テクストにおける視点の解釈をめぐって」『靑山語文』54、青山学院大学日本文学会)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、ダイクシスの観点からのテクスト論・文体研究という新たな研究テーマに取り組み、上記のような成果を示すことができた。次年度以降も、引き続きこのテーマについて考察を深めていく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
本年度新たに進めた視点とダイクシスの観点からのテクスト・文体研究について、古典語を含めた考察を進めていく予定である。
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