研究課題/領域番号 |
21K00512
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02060:言語学関連
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研究機関 | 中部大学 |
研究代表者 |
武藤 彩加 中部大学, 人文学部, 教授 (00412809)
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研究分担者 |
伊藤 泰信 北陸先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 教授 (40369864)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2025年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 生理学的普遍 / 多様性 / 味を表す表現 / 生理的動機づけ / 環境的動機づけ / 認知的動機づけ / 味覚 / 共感覚的比喩 / 生理学的普遍性 / 文化人類学 / エスノグラフィックな定性的調査 / 食文化 / 身体性 / 五感 / 言語と文化の相関性 |
研究開始時の研究の概要 |
英語の多様性についてはこれまで様々な研究があるが、この研究では文化人類学と言語学の融合より、言語と文化の相関性に関する考察について新たな知見を得る。 認知意味論では、意味の問題を知覚や認識との関連で捉えるが、この研究では特に味覚表現における3つの動機づけ(環境的動機付け、生理的動機付け、認知的動機付け)を探る。 豊かな味覚語彙の範疇を持つ言語とそうでない言語とがあるが、それがその地域の食文化とどのように関わるのか。本研究では、文化人類学的な分析を加えることにより、これまで困難とされてきた言語と非言語的な領域との関連性を明らかにする。
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研究実績の概要 |
今年度は国際学会にて口頭発表を行い、さらにその内容を国外のジャーナル(査読付)に研究論文としてまとめた。今年度のおもな研究成果は以下の通りである。 ある食品に対してその食感を表す際にどのような表現が日本語母語話者によって使用されるのかという点について検証した。具体的には、食品と食感の表現の慣用的な結びつきについて大学生と小学生児童を対象としたアンケート調査の結果に基づき考察し、そこに違いがみられるのかという点についてまとめた。また小学生児童においての学年の違い(1年生から3年生)による差がみられるのかという点についてもあわせて観察した。その結果、以下の点が明らかになった。13種類の食品の食感を表す際に、大学生は1種類(または2種類)の表現のみを使用するのに対し、小学生はそうではなく、学年の別なく少なくとも3種類以上の表現を使用する傾向があるという結果であった。例えば、納豆については大学生はおもにネバネバを使用するのに対し、児童は学年の別なくベタベタ、ネットリ、ベトベトなどの表現も使用する(「ベタベタの納豆」)。また氷については、大学生はおもにガリガリを使用するのに対し、児童は学年の別なくザクザク、コリコリ、カリカリなどの表現も使用する。ほかにパスタ、ブランデーケーキ、コーンスナック、キャラメル、ゼリー、ハチミツ、チーズ、レタス、麺なども同様の結果であった。 以上のように、今回の小学生児童を対象とした調査においては、児童の回答結果に学年(1年生から3年生)による大きな違いは認められなかった。この結果がいわゆる「自然な日本語」の習得とどう結びつくのか。むろん今回の調査および考察はあくまでもケーススタディであり、引き続き被検者を増やすなどして調査を続ける必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度末に、延期されていた英語圏でのインタビュー調査を実施することができた。この調査で得た情報をもとに、今後は英語圏の小学校での調査を実施する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度に実施した調査において、日本語を母語とする児童によって使用された表現が一般的に使用される表現なのかどうか、クックパッドなどにおける実例で確認することが目前の課題である。 ベタベタの納豆、ムチムチしたパスタ、ムチムチした団子、ピチャピチャしたメロン、ジューシーなブランデーケーキ、ネバネバのキャラメル、ツルツルのゼリー、ネバネバしたハチミツ、ネバネバしたチーズ、サクサクのレタスなど
さらに日本語非母語話者を対象とした、同様の調査を実施したいと考えている。さしあたって、英語圏での調査を予定している。 また英語をはじめとする他の言語においても食品と表現との慣習的な結びつきがみられるのかという点について引き続き検証を続ける。
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