研究課題/領域番号 |
21K00520
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02060:言語学関連
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
中澤 信幸 山形大学, 人文社会科学部, 教授 (30413842)
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研究分担者 |
石山 裕慈 神戸大学, 人文学研究科, 准教授 (70552884)
岩城 裕之 高知大学, 教育研究部人文社会科学系教育学部門, 教授 (80390441)
加藤 大鶴 跡見学園女子大学, 文学部, 教授 (20318728)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 日台大辞典 / 日本漢字音 / 中国語諸方言音 / 韓国漢字音 / 台湾語音 / H.A.Giles / 中国語中古音 |
研究開始時の研究の概要 |
1907年刊『日台大辞典』の「緒言」における東アジア漢字音の対照研究について検証し、それを現代にも通用する日本漢字音、韓国漢字音、台湾語音の対照資料として完成させ、そこから通時的な比較研究を行う。 これらの漢字音は中国語中古音の性格を色濃く残しており、相互に近似性を持つ。「緒言」はそこに着目し、これらの対照を行ったものである。そこで、この対照部分のデータベース化を行い、その日本漢字音、韓国漢字音、台湾語音について、典拠となった文献との照合を行う。 ここに日本漢字音、韓国漢字音、台湾語音に関する先行研究の成果も当てはめることで、現代にも通用する漢字音対照研究の資料として完成させる。
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研究実績の概要 |
本研究は、1907年刊『日台大辞典』の「緒言」における東アジア漢字音の対照研究について検証することを目的としている。前年度は「緒言」における東アジア各漢字音の対照部分についてデータベース化を行った。このデータベースをもとに、「緒言」の各漢字音について、J. MacGowan English and Chinese Dictionary of the Amoy Dialect(『英厦辞典』)、C. Douglas Chinese-English Dictionary of the Vernacular or Spoken Language of Amoy(『厦英辞典』)、H. A. Giles A Chinese English Dictionary、S. W. Williams A Syllabic dictionary of the Chinese Language(『漢英韻府』)等、「緒言」が典拠とした文献との照合を行い、この「緒言」の対照研究の有用性について検証した。 この成果を受けて、今年度は台湾・台南で開催された「第十四屆台灣語言及其教學曁台灣學「蛻變的聲音」國際學術研討會」(2022年8月27・28日)で口頭発表を行った。その際、『日台大辞典』の編纂者である小川尚義における、江戸時代の漢字音研究からの影響関係も重要である、また後世のカールグレン(B. Karlgren 、高本漢)の『Etudes sur la Phonologie Chinoise』(『中国音韻学研究』)との影響関係についても、考察すべきであるとの指摘を受けた。それらの知見を承けて、今年度はデータベースに上記文献の内容を追記するとともに、「緒言」がやはり典拠としていた江戸時代の太田全斎『漢呉音図』の内容も追記した。またカールグレン『中国音韻学研究』との対照も行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
『日台大辞典』の「緒言」における東アジア各漢字音(厦門・福州・客人・広州・上海・温州・寧波・南京・北京・朝鮮・安南)に関する対照部分(全141ページ)をMicrosoft Excelに入力し、「東アジア漢字音対照データベース」(全689字)を完成させた。 このデータベースから抽出した各項目の代表字(130字)について、「緒言」が典拠としていたJ. MacGowan English and Chinese Dictionary of the Amoy Dialect(『英厦辞典』)、C. Douglas Chinese-English Dictionary of the Vernacular or Spoken Language of Amoy(『厦英辞典』)、H. A. Giles A Chinese English Dictionary、S. W. Williams A Syllabic dictionary of the Chinese Language(『漢英韻府』)、そして太田全斎『漢呉音図』の内容を追記し、これらの影響関係について対照できるようにした。
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今後の研究の推進方策 |
完成させた「東アジア漢字音対照データベース」について、引き続き「緒言」が典拠とした文献との照合を行い、この「緒言」の対照研究の有用性について検証を行う。また、後世のカールグレン『中国音韻学研究』との対照も行う。 そして現代の日本呉音、日本漢音、朝鮮漢字音、台湾語音も追記することで、漢字音対照研究の資料として完成させる。 この漢字音対照資料をもとに、研究分担者とともに、日韓台の漢字音変遷に関する記述を行うことで、通時的な漢字音変遷の比較研究を行っていく。
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