研究課題/領域番号 |
21K00531
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02060:言語学関連
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研究機関 | 青山学院大学 |
研究代表者 |
猿橋 順子 青山学院大学, 国際政治経済学部, 教授 (10407695)
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研究分担者 |
飯野 公一 早稲田大学, 国際学術院, 教授 (50296399)
豊島 昇 共立女子短期大学, その他部局等, 教授 (90821926)
木村 大輔 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 准教授 (00825523)
岡部 大祐 順天堂大学, 国際教養学部, 講師 (90828261)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 多言語 / 公共空間 / 国フェス / エスノグラフィ / タイ / トランスナショナリズム / 国際交流 / ポストコロナ / タイフェスティバル / 日本博 / 社会言語学 / 国際交流イベント / 相互作用秩序 / 実践共同体 / 多言語公共空間 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究はポストコロナ「新しい日常」の国際交流イベントにおける行動様式の変容の促しと、その結果、人々の行動様式や行動規範がどう変わっていくかについてエスノグラフィー法で接近する。事例として、日本で開催されるタイフェスティバルと、タイで開催される日本博を取り上げる。こうした催事開催を実現する上で、デジタル領域は大きな役割を担うため、本研究はデジタルエスノグラフィーと従来の実地で行うエスノグラフィーを架橋しながら取り組む。また、人々の相互協力に注目し、実践共同体論などの枠組みの援用可能性を検討する。「新しい日常」の文化交流イベントの意義を明らかにし、課題解決に資するよう取り組む。
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研究実績の概要 |
本年度は、タイフェスティバル大阪(6月5日、湊町リバープレイス(なんばハッチ)にて開催)、バンコク日本博(9月2日~4日、サイアムパラゴン・ロイヤルパラゴンホールにて開催)において実地調査を行った。2022年の秋頃から、徐々に対面開催が再開されはじめたが、規模の縮小やオンラインプラットフォームの拡張に伴い、コロナ禍以前とは異なる取り組みが認められた。情報収集は、2023年度に行う実地調査の計画および準備のためにも断続的に行っている。 また、2021年度に実施されたオンラインのタイフェスティバル大阪のデータに基づき、研究会議をオンラインで開催し、分析と考察を深めた。言語選択とシンボリックな言語提示について、メイン画面(ステージ)とコメント欄(視聴者による書き込み)に分けて分析した。メイン画面では、プログラムの趣旨や、メッセージが誰に向けられているかに応じて、タイ語・日本語・英語を組み合わせて提示する方略が数通り認められた。コメント欄では、前述の三言語にとどまらない数多くの言語と文字による投稿がなされていた。そこには、出身地や今いる場所、民族ルーツ、文化への精通度、語学の熟達度、旅行者としての訪問歴など、さまざまな自己イメージを提示する上で、言語と文字の選択がなされていることが認められた。また、参加者それぞれの言語イデオロギーに立脚したものとみられる、言語をめぐる交渉や感情の表明もさまざまに見出された。なかでも、メイン画面へと視聴者の関心を誘う調整や、その場のコミュニケーションを管理しようとする多言語話者の存在が重要であることを認めた。 これらの知見の一部は、国内外の学会で発表し、参加者からのフィードバックを受けた。また、2023年度に予定している国際学会での発表に向けて、さらなるデータ分析に取り組んでいるところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
これまでフィールド調査の対象として計画していた催事は、新型コロナウイルスの感染予防の観点から中止あるいは延期されていたが、2022年度から少しずつ再開されはじめている。部分的に調査を実施することができたが、依然として当初の計画よりは遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は積極的にフィールド調査を実施していく。コロナ禍に見られた、活動の休止や規模の縮小、催事のオンライン開催、オンラインプラットフォームの拡張などが、多言語の管理、人びとの関わり合い方、コミュニケーションのありようなどにどのような影響を与えているか、ポストコロナの国際交流イベントのあり方なども丁寧に調査する。 データ分析および研究成果の報告についても積極的に取り組む。特に多言語公共空間の形成過程、そこで生じる課題と対応策の提示に貢献できるよう努める。
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