研究課題/領域番号 |
21K00532
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02060:言語学関連
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
藤田 護 慶應義塾大学, 環境情報学部(藤沢), 講師 (50726346)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 危機言語 / オーラルヒストリー / 口承文学 / アンデス人類学 / 先住民言語 / 先住民の思想 / 先住民言語の語り理論 / 言語復興 / 存在論的転回 / パースペクティヴィズム / アイマラ語 / ケチュア語 |
研究開始時の研究の概要 |
南米アンデス高地の先住民の言語とその多様性に着目することで、その口頭で伝承されてきた語りが地域ごと、言語ごとにもつ特徴を重視しながら、それが人間と動物の関係についてどのような考え方を明らかにするか、そして特に古くからアンデスの南部高地に存在してきたとされる、今では話者数が少なくなった言語に着目することで、社会や歴史についてどのような知見が得られるかを考えます。
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研究実績の概要 |
全体的に研究プロジェクトの遂行がやや遅れているが、2023年度には8月から9月にかけ現地調査を行い、先住民言語によるインタビューと録音作業に継続して取り組んだ。 当初予定では、ウル系言語の中でもウル・チパヤ語の取り組みの状況を調査することを予定していたが、急激な円安の進行により当初承認された資金額に対する圧迫が高まり、そこまで地理的範囲を拡大して取り組むことが難しい状況になった。そのため、同じウル系言語の中でも、ボリビアの行政上の首都ラ・パスの街からより近い村で使用されつつ、より深刻な危機に瀕するウチュマタク語に着目し、2022年度に引き続き2023年度にも言語復興活動の状況の継続的なモニタリングを行った。また同時に、当初の研究計画に予定されていたアイマラ語とケチュア語による語りの調査と記録作業も進展させることができた。 当初計画において予定していた、アンデス地域における口承文芸に対する人類学のパースペクティヴィズムの考え方の適用可能性を批判的に検討するという作業を続けた。2023年前半に刊行された共著の書籍にその最初の成果を公刊するとともに、2024年中に刊行予定の共著の書籍2冊にも、新たな視点からこの面での成果を公刊すべく、論考を執筆した。また、ウル系言語の言語復興状況については、アンデスの口承文芸全般に関する論考の一部として学会誌に発表するとともに、日本におけるアイヌ語の言語復興の状況と課題と関連させて理解・議論することを試みた。また、ボリビアでも口承文学と書かれた文学を交差させて議論する論考をスペイン語で刊行するとともに、エクアドルにおいて開催された国際会議でもアイマラ語のオーラルヒストリーの解釈の仕方について発表し、会議のプロシーディングスに原稿を提出した。 同時に、録音資料の聞き起こしとスペイン語訳を現地の話者と共同して進めてきている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究の初年度が依然としてコロナ禍による渡航規制期間と重なったために、フィールドワーク調査なしで出来る事柄のみを扱うところからスタートしたために、当初の研究プロジェクトの開始に支障と遅れが生じた。と同時に、円安や渡航先の国でのインフレが進んできているために、調査に必要とされる金額が科研費申請時よりもかなり嵩んでおり、毎回の出張における支出金額が増大するとともに、フィールドワーク自体の規模・期間の縮小を余儀なくされてきた。この二つの要因が重なった結果として、全体としてはやや遅れている状況にあるが、残存する資金額で出来ることも限られており、2024年度に比較的少額の資金執行を行ったうえで締めくくることができる見込みである。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度夏にフォローアップの現地調査を行う予定をしており、これまでの録音資料の聞き起こしと翻訳作業を進めているため、その際に残っている資金を執行する予定である。また、2024年度にも論文刊行および学会発表を通じてその成果を継続的に公にすることができる見込みである。以上をもって今年度で本研究プロジェクトは締めくくることとなる。
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