研究課題/領域番号 |
21K00533
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02060:言語学関連
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
関根 和生 早稲田大学, 人間科学学術院, 准教授 (60847002)
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研究分担者 |
高嶋 由布子 国立障害者リハビリテーションセンター(研究所), 研究所 脳機能系障害研究部, 流動研究員 (40792271)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2022年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | ろう児 / 日本手話 / 語用論 / コミュニケーション / 心の理論 / 発達 / 手話 |
研究開始時の研究の概要 |
我が国における聴覚障害児の言語発達に関する評価や教育は,これまで音声日本語による評価や支援に偏ってきた。また,日本手話と日本語との言語的相違点が明らかにされつつあるが,手話独自の発達過程に関しては明らかになっていない部分が多く,そのため手話言語発達の評価や教育のための資源が乏しい現状にある。そこで本研究では, 手話による教育を受けているろう児のコミュニケーション能力,とりわけ対話相手に合わせた会話の調整能力を明らかにする。ろう児同士の相互作用のあり方や,それを支える言語的・認知的要因を明らかにすることで,聴覚障害児の支援に必要な知見を得ることが期待される。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は,ろう児のコミュニケーションの調整能力が加齢とともにどのように発達し,またどのような要因がその発達に関わっているのかを明らかにすることである。2022年度の目標に掲げた活動は,1. 言語検査の実施,2. 異学年同士の参照コミュニケーション課題の実施,3. コミュニケーションデータの分析,4. 学会での発表 の4点であった。言語検査の実施に関しては日本手話文法理解テスト(2017)を用い,6歳,10歳,13歳のろう児に対して年齢群ごとに教室内で一斉に実施した。その結果,6歳と10歳の間で大きな相違がみられ,10歳以上では天井効果に近い結果となった。異学年同士の参照コミュニケーション課題の実施に関しては,6歳群4名,10歳群6名,13歳群6名のろう児が異年齢同士でペアを組み,コミュニケーション課題に取り組んだ。結果として,加齢に伴い正答率が上がり,カードの位置や方向に関して表現の種類が豊富になっていくことがわかった。コミュニケーションデータの分析に関しては,異年齢ペアの課題中に産出された手話を,昨年度同様ELANを用いて,逐語録を作成した。同年齢ペアと異年齢ペアの間でのコミュニケーションの質的・量的差異を明らかにすること,また言語検査の結果と参照コミュニケーション課題成績との関係を明らかにすることが23年度の目的となる。COVID19の影響でデータ収集・分析が遅れたため,23年度に学会および学術論文で上記の調査成果を報告する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
21年度に引き続き,22年度も新型コロナウイルス感染拡大防止のため,予定していた時期に対面での調査を行えることができず,データの収集が遅れた。そのためデーの分析時期も遅延が生じた。言語検査は問題なく実施できたものの,コミュニケーション課題の分析がまだ進行中であるため,23年度にこれまでの調査結果の報告と総括を行う。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は、以下の4点を行う予定である。1:同年齢・異年齢ペアのデータアノテーション,2:コミュニケーション課題と言語検査との関係に関する分析,3:学会での発表,4:学会誌への投稿 。COVID-19の感染状況によりデータ収集が予定よりも遅れた。そのため,23年度はアノテーションの人員を増やすなどして,データ分析を早急に行い,本研究成果をまとめる。
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