研究課題/領域番号 |
21K00542
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02070:日本語学関連
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
作田 将三郎 鳥取大学, 地域学部, 教授 (30566021)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 地方語文献 / 道中記 / 音声の方言的特徴 / 江戸時代 / 仙台藩 / 音声 / 方言的特徴 / 近世中・後期 / 資料論的考察 / 地方語史 |
研究開始時の研究の概要 |
ある地域の方言が、過去にどのような言葉を使用し、どのような歴史をたどって現代に至ったかを知るための地方語史研究には、方言的特徴が反映された文献資料が必要不可欠である。本研究は、現在の宮城県に残存する江戸時代から明治時代に記された地方語文献のうち、従来日本史の分野で使用されてきた「道中記」に着目し、資料の内容や位相面の性格、および言語資料としての性格といった日本語学的見地による資料論的考察を行う。そして、従来日本語学の分野では使用されてこなかった資料を地方語史研究のための資料として再評価すること、さらには江戸時代から明治時代における方言を知るための資料として有効であることを提案していく。
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研究実績の概要 |
令和5年度は、宮城県図書館へ5回出向き、同館に所蔵、および開架されている古和書のうち、近世に作成された旅行の日記・紀行である道中記と呼ばれる資料を対象に、資料の発掘調査、資料の閲覧と複写、および方言的特徴記載の有無の確認といった作業を行った。 その際、仙台藩刈田郡白石村(現在の宮城県白石市)の商人である渡辺喜伴が弘化3(1846)年に作成した『道中記』を採取し、同書に見られる表記上に反映されていると考えられる音声の方言的特徴のうち、「語中・尾におけるイとエの混同」を取り上げし、資料作成当時の使用状況について作田将三郎(2024)「『伊勢参宮所々名所並道法道中記』と『道中記』に見られる音声の方言的特徴」『地域学論集』(鳥取大学地域学部紀要)第20巻3号で報告した。 また、令和4年度の調査の際に採取した資料のうち、仙台藩領登米郡早稲屋敷(現在の宮城県登米市迫町)の住人である阿部庄兵衛が寛政10(1798)年に作成した『伊勢参宮所々名所並道法道中記』の表記上に反映されている「語中・尾におけるイとエの混同」について、当時の使用状況と現代方言との比較による考察を作田(2024)で、近世後期に現在の宮城県北部地域で作成されたと考えられる『金毘羅道中記』を対象に、『同書』の表記上に反映されていると考えられる音声の方言的特徴として、「語中・尾におけるイとエの混同」と「語中・尾におけるカ行・タ行子音の有声化」について、当時の使用状況と現代方言との比較による考察を作田将三郎(2023)「『金毘羅道中記』に見られる音声の方言的特徴」『地域学論集』(鳥取大学地域学部紀要)第20巻第1号でそれぞれ報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和5年度は当初の予定どおり、宮城県図書館において表記上に方言が反映されていると考えられる文献に関する調査を実施できた。また、令和4年度と令和5年度における調査の際に採取した資料を利用し、2本の研究論文を執筆したことで、これまでの研究の遅れを大幅に取り戻すことができ、ようやく研究に進展が見られた。 令和5年度になり、ようやく当初設定していたエフォートを十分に確保することができたものの、現在までの研究作業に関する進捗状況は、立案していた研究計画よりも遅れていると言わざるを得ない。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究作業の遅れを取り戻し、滞りなく推進させていくために、今年度は仙台市立図書館に所蔵されている、または同館のホームページに収録されているデジタル化された道中記資料を調査対象にしていく。 今年度の実施計画として、仙台市立図書館に出向き、資料を閲覧し、表記上に反映されていると考えられる方言的特徴の確認や用例の採取といった作業を行う。そして、資料作成当時の資料作成地における方言的特徴が反映された資料として有効であることを証明するために、資料論的観点による検討、および得られた用例の質的・量的な観点による考察を行う予定でいる。これらのことが遂行できれば、当初設定していた研究計画の遅れを取り戻すことができると考えている。 得られた研究成果については、所属学会での発表、学術論文の執筆、および学会誌への投稿へと発展させていく予定である。
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