研究課題/領域番号 |
21K00550
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02070:日本語学関連
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研究機関 | 神戸市立工業高等専門学校 |
研究代表者 |
林田 定男 神戸市立工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (50713682)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2024年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 一条兼良 / 伊勢物語愚見抄 / 近衛政家 / 後法興院記 / 冷泉為和 / 詠草 / 仮名 / 古筆切 / 仮名遣 / 用字法 / 表記意識 / 冷泉派歌人 / 中世 |
研究開始時の研究の概要 |
今川了俊筆の資料を取り上げた挑戦的研究(萌芽)「用字法における個と継承に関する研究」[17K18500]において、書記資料と書写資料との比較の有用性を示唆する結果が得られた。本研究では、その有用性を検証すべく、調査の対象範囲を広げる。その対象は、了俊との関係から中世の冷泉派歌人の書記/書写資料とする。複数の「個」の表記意識(用字法、規範意識)を明らかにし、さらにそれらを統合することによって15世紀前後の和歌文化の有力な担い手であった「集団」の表記意識をも明らかにしようとするものである。
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研究実績の概要 |
研究の基盤となっているのは、以前に提案した、今川了俊自筆の書記/書写資料の用字実態比較調査から得られた用字法の解釈モデル(方法)である。本研究は、このモデルを了俊に関係する複数の冷泉派歌人に適用させるものであり、その目的は大きく3つある。(A)書記における個の問題の解明、(B)藤原定家の用字法の享受に関する問題の解明、(C)中世歌人(冷泉派)の用字意識の解明、である。目的達成に向けた作業内容を列挙すると、(A)用字法における複数の「個」を抽出し、さらにその結果(モデル)自体を検証すること、(B)複数の中世冷泉派歌人の書記/書写資料における仮名遣の一端の解明すなわち「定家の仮名遣い」という表記規範の実効性を検証すること、(C)「個」の表記意識を統合・分析すること、である。 昨年度に引き続き、主として(A)にかかわる研究、一条兼良、冷泉為和関係の資料調査を進めた。兼良が著した『伊勢物語愚見抄』についての調査に関連して、近衛政家筆の同書の新出断簡の調査を行った。書写面のスタイル及び書写年次から研究上の価値が高いとされる資料である。政家筆本(断簡)は、従来の注釈書の一般的なスタイルとは異なり、物語本文(全文)と注釈とを併せ持つ。これと同じスタイルの『伊勢物語愚見抄』としては、江戸時代の書写と推定されている刈谷市中央図書館蔵本が挙げられる。 本年度は、断簡の筆者である近衛政家の表記意識を探るべく、『後法興院記』の調査を中心に進めた。政家の日記である『後法興院記』には、彼が多くの文学作品を書写している記述が散見された。そこで、その記述と現存自筆資料との関係を探った。なお、当該断簡との関係は不明であるが、『伊勢物語愚見抄』を書写した旨の記述も見られた(文明17年9月13日)。 冷泉為和筆の資料については、詠草に見られる仮名を中心に分類を行っているが、いまだ成果を公表できる段階に至ってはいない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
一条兼良の表記意識の特徴を明らかにするためには、近衛政家筆資料が有用であることが判明した。近衛政家筆資料の調査の必要性は当初予期していなかったため、研究計画との関係においてはこの区分となる。
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今後の研究の推進方策 |
一条兼良の表記意識の解明に向けて、近衛政家筆資料の調査を速やかに完了させたい。 今後は可能な限り、実地調査を行う。また、冷泉為和の表記意識の解明の基礎となる詠草は一般的な歌書に比して、判読が容易でない。IT機器を積極的に活用して、分類・分析作業の効率化を図りたい。
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