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空演算子の述語NP分析とその帰結

研究課題

研究課題/領域番号 21K00565
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分02080:英語学関連
研究機関山形大学

研究代表者

富澤 直人  山形大学, 人文社会科学部, 教授 (40227616)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2022年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2021年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
キーワード空演算子移動 / tough構文 / 再構築化 / ラベル標示付け / CP-expletive association / CP-虚辞 / 述部NP移動 / フェーズ / 内包形容詞 / 演算子移動 / 主語条件 / 空演算子 / 叙述名刺 / 指示 / pro
研究開始時の研究の概要

本研究は、第1に、tough構文をはじめとする様々な空演算子構文の分析の豊かな先行研究の知見に基づきつつ、既存の分析の不備を整理し、代案として、空演算子は述語NPであり、空演算子移動は述語NPの移動であるという分析を提示し、この代案の妥当性を示す。第2に、寄生空所構文では、述語NPとは異なるタイプの空演算子が必要であり、2種類のタイプの空演算子が存在し、どの演算子がどの環境で許されるかは文法によって決定されることを示すことを目的とする。これらを通じて、空演算子の理解を深めることと述語NP移動という仕組みの必要性を主張する。

研究実績の概要

本研究の主要な問いの1つは、「空演算子構文において空演算子と便宜的に呼んでいる要素が、実際にはどのような統語構造を持った要素であるのか」という問いであり、作業仮説として、「空演算子=述語NP」という仮説を立て、この述語NPの移動分析を検証している。
このテーマのもとで、tough構文の分析を継続して実施した。特に、tough構文の主語が節である場合の統語特性を調査し、いわゆる節主語(clausal subject)や話題化節(clausal topic)において観察されている2種類の統語特性と同様の統語特性が見られることを明らかにした。すなわち、第1に、再構築化現象が発生することを束縛代名詞の分布から確認した。また、第2に、tough構文の主語が節主語である場合に、それに対応するgap位置は、必ず、名詞句の出現を許容する位置であることを確認した。
tough構文で明らかになったこの2つの経験的事実は、tough構文の派生プロセスと、節主語および話題化節の派生プロセスに共通項があることを示している。その共通項として、節型項(clausal argument)は、ラベルを持たない「CPと虚辞itの対」すなわち {CP, it} であることを提案した。{CP, it}は、ラベル標示付けアルゴリズムにより、CPが摘出されて初めて認可可能になる。そのようにして摘出移動を受けたCPであるがために再構築化現象が発生し、また、残留したitが名詞表現であるためgap位置が名詞性を示す。
この{CP, it}分析と、前年度に到達した述語NP分析(すなわち、{D, NP}分析)を融合し、ラベルを持たない {CP, it}、および、ラベルを持たない{D, NP}が、tough構文の移動プロセスのエンジンであると提案した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

tough構文のうち、主語に節が生じるケースの分布を分析し、前年度までの成果であるNP述語分析とを融合することによって、tough構文における移動プロセスのエンジンが、ラベルを持たない{CP, it}あるいは{D, NP}であるという可能性まで到達した。
これは、tough構文において従来「空演算子」と呼ばれていた要素が担っていた2つの機能、すなわち、「移動の原因要素」と「指示の依存性」のうち、前者が「ラベル無し構造」であることを示したことになる。後者の「指示の依存性」は、{CP, it}では虚辞itに、また、{D, NP}ではDに原因があることになる。この後者の観点をさらに掘り下げて分析する必要性がある。

今後の研究の推進方策

tough構文に関するこれまでの研究成果をもとに、他の空演算子構文の分析を進める。
作業仮説として、①tough構文、②too/enough to構文、③寄生空所構文という3つの対立軸を立てて、それぞれの空演算子の内部構造を分析し、それぞれ、独立した存在根拠のある既存の統語構造に還元する。

報告書

(3件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 2021 実施状況報告書
  • 研究成果

    (4件)

すべて 2024 2023 2022

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件)

  • [雑誌論文] A case for movement of the clausal subject of the tough-movement construction2024

    • 著者名/発表者名
      Naoto To;mziawa
    • 雑誌名

      Yamagata University Faculty of Humanities and Social Sciences Annual Research Report

      巻: 21 ページ: 39-61

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] A labeling analysis of tough-movement operations2023

    • 著者名/発表者名
      Naoto Tomizawa
    • 雑誌名

      Yamagata University Faculty of Humanities and Social Sciences Annual Research Report

      巻: 20 ページ: 1-19

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] Review: Dikken, Marcel den (2018) Dependency and Directionality2022

    • 著者名/発表者名
      Naoto Tomizawa
    • 雑誌名

      English Linguistics

      巻: 19 (2) ページ: 511-535

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] 複雑型内包形容詞の統語派生2022

    • 著者名/発表者名
      富澤直人
    • 雑誌名

      島越郞、富澤直人、小川芳樹、土橋善仁、佐藤陽介、ルプシャ コルネリア(編)『ことばの様相―現在と未来をつなぐ―』 開拓社

      巻: 1 ページ: 325-335

    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
    • 査読あり

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公開日: 2021-04-28   更新日: 2024-12-25  

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