研究課題/領域番号 |
21K00584
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02080:英語学関連
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
縄田 裕幸 島根大学, 学術研究院教育学系, 教授 (00325036)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 関係代名詞 / 生成統語論 / 英語史 / 生成文法 / 関係詞 / 史的統語論 / 比較統語論 |
研究開始時の研究の概要 |
古英語の関係節においては,関係代名詞としてse, seo, thatなどの指示代名詞が用いられていたが,中英語期にwho, whichなどのwh語がその役割を果たすようになった。この変化がなぜ,どのように生じたかは,いまだ解明されていない。他方で,生成文法理論にもとづく関係節の分析においては,演算子移動分析と主要部繰上げ分析が提案されており,どちらが妥当であるか論争が続いている。本研究では,英語の関係節は指示代名詞が関係代名詞として現れた時代には主要部繰上げによって派生されたが,wh語で置き換えられた後は演算子移動によって派生されるようになったという作業仮説を立て,実証的・理論的に検証する。
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研究実績の概要 |
今年度は、先行詞つき関係節にみられる言語変化の一方向性について検討を行った。先行詞つき関係節の構造と派生は、生成統語論の歴史において常に議論の対象となってきた。文献で提案されている分析は、同一要素削除分析、演算子移動分析、主要部上昇分析に大別される。これまでの研究では、これらの分析のどれが正しいかをめぐってしばしば論争が起こり、さまざまな言語の先行詞つき関係節の性質をすべて説明できる単一の分析を追求しようとしてきた。しかし本研究では、これらの分析はUGで許容される基本的統語操作、すなわち併合、移動、削除に基づくという意味ですべて正しいと仮定し、英語における先行詞つき関係節の通時的変化において、これらの派生がどのような順序で現れ、衰退していったかを検証した。 古英語では指示代名詞が関係代名詞として用いられ、先行詞に応じて人称と性別を屈折させた。現代英語のthatは古英語の中性単数指示代名詞から派生したものなので、指示代名詞の屈折衰退の結果、wh関係代名詞が指示関係代名詞に取って代わったと言えるかもしれない。しかし、指示詞の屈折の衰退とwh関係詞の発展にはかなりの時間差がある。 そこで、本研究では古英語における指示詞ベースのDシステムから現代英語におけるwhシステムへの移行には、Gelderen (2004, 2011)が提唱した統語変化の「原理」が働いていたと主張した。具体的には、Dシステムによる先行詞つき関係節は同一要素削除や主要部上昇によって派生し、whシステムによる相対代名詞節は演算子の移動によって派生すると提案した。whシステムは、通時的統語変化の「主要部優先原理」と「遅延併合原理」の両方を満たすことができるという意味で、Dシステムよりも経済的である。また、Dシステムからwhシステムへの移行においてthat関係節が果たした役割も明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
先行詞つき関係節の分析を進めた結果、これと関連するit分裂文の通時的発達についても調査と分析を進める必要が生じたため。
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今後の研究の推進方策 |
研究の最終年度となる令和6年度は、英語のit分裂文について調査と分析を行う。it分裂文については、文頭のitが関係詞の先行詞であるとする分析と焦点要素が関係詞の先行詞であるとする立場が並立しており、いまだ十分な分析が得られていない。また、英語の通時的発達においては、当初は名詞類のみが分裂文の焦点となることができたが、時代が下るにつれて副詞類も焦点となることができるようになった。 本研究では、まずコーパス調査によって英語のit分裂文に生じた焦点要素と関係詞の変遷を明らかにする。その上で、近年の生成統語論で提案されているコピー形成(FormCopy) 操作によってit分裂文の構造と派生を提案する。
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