研究課題/領域番号 |
21K00604
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02090:日本語教育関連
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研究機関 | 目白大学 |
研究代表者 |
加賀美 常美代 目白大学, 心理学部, 教授 (40303755)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 文化的ダイバーシティ風土 / 価値観 / 多様性 / 外国人社員 / 日本人社員 / 職場の組織風土 / KJ法 / 外国人就労者 / 日本人就労者 / 修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチ / コロナ禍 / 労働価値観 / 偏見低減 / 異文化間葛藤の解決 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、外国人就労者と日本人就労者の異文化間葛藤の解決を目指すとともに、多様性を包摂した組織環境を築くために、職場の「文化的ダイバーシティ風土」と労働価値観、一般的価値観等について検討することである。外国人就労者と日本人就労者が共に技術や能力を発揮できモティベーションが維持されるために、また、良好な関係維持が保たれる職場環境が構築されるためにはどのようにしたらよいか、「文化的ダイバーシティ風土」と多様性という観点から質的・量的に検討を行う。コロナ禍における職場の労働環境、個人の価値観の変化などの多様な要因についてもどのように関連するか併せて総合的に検討を行う。
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研究実績の概要 |
本研究では、外国人就労者と日本人就労者の異文化間葛藤の解決を目指すとともに多様性を包摂した組織環境を築き両者が良好な関係を構築するのにはどのようにしたらよいかを検討することを目的とする。本研究の対象者は、日本の大手企業で働く外国人社員と共に就労する日本人社員5名である。年齢は28-40歳、現職の就労年数は1-15年であった。倫理審査を経て対象者と所属企業の承諾を得て半構造化インタビューを実施した。インタビューデータは文字化の実施後、KJ法による分析を行った。 研究1)日本人社員の職場に対する認識を分析した結果、全32例が抽出された。大カテゴリーについては、①職場は勤務時間が調整しやすいという柔軟な働き方に関するもの、②意見の主張しやすさなど個人の意見の尊重に関するものであった。中カテゴリーは職場環境の親和性に関するものであった。これらの結果を同じ職場で働く元留学生社員と比較すると、彼らも文化的多様性の尊重を肯定的に認識していた。 研究2)日本人社員の文化的ダイバーシティに対する認識を分析した結果、全47例が抽出された。大カテゴリーについては、①会社のダイバーシティ推進の取り組みに関するもの、②職場の外国人社員を日本人社員と区別せずに接していることであった。中カテゴリーは、①日本人社員のダイバーシティに対する漠然とした意識に関するもの、②部署や社員によって外国人社員の業務や職務規定への理解の差異があること、③外国人社員とダイバーシティについて話す機会の欠如に関するもの、④日本人社員の業務遂行の際の外国人社員を理解する態度に関するものであった。以上から日本人社員は職場の文化的ダイバーシティに明確な意識を持っていないことが示された。元留学生社員の認識と比較すると、彼らは日本人社員の異文化に対する理解が不十分で、ダイバーシティへの関心が少ないことに葛藤が生じていた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
文化的ダイバーシティ風土と多様性という観点から、多国籍の職場で就労する外国人社員と日本人社員の半構造化インタビューを行った。特に、外国人を対象とした分析では、3本の投稿論文を作成した。1本は採択されすでに2022年12月に掲載された。2本は条件付き採択を修正後、両方とも採択され2023年夏には学会誌に掲載される予定である。また、①日本人社員のダイバーシティ風土の認識に注目した質的分析を行ったもの、②児童期に来日した台湾にルーツを持つ社員の事例研究の質的分析を行ったものなどこの2点は、2023年6月の異文化間教育学会で発表を予定している。さらに、多国籍企業の日本人社員を対象にしたwebによる質問紙調査を2月に実施した。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度に行った外国人社員の半構造化インタビューの結果を整理し、質的な分析を行い、学会発表に向けて準備を行う。また、webで行った日本人社員の質問紙調査の統計的分析を行い、結果を整理する。学会発表に向けて準備を行うとともにできれば論文化を行う。
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