研究課題/領域番号 |
21K00615
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02090:日本語教育関連
|
研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
清田 淳子 立命館大学, 文学部, 教授 (30401582)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
|
キーワード | 移民第二世代の若者 / 教科学習支援 / 言語少数派の児童生徒 / 母語の活用 / 学習支援者 / 母語活用 / 言語少数派の子ども / 母語支援者 / 言語少数派生徒 |
研究開始時の研究の概要 |
母語を活用した学習支援は子どもの教科理解を促進するとされるが、実施に際しては母語支援者の確保に課題を抱える。問題の解決に向けて本研究では、自分自身が中学時代に母語を活用した学習支援を受けた経験をもち、今は大学生になった「移民第二世代の若者」に着目する。そして、かれらが母語を用いて行う学習支援を対象に、学習活動や授業内容の特質、参加者の意識に焦点を当てて成果と課題を検証する。第二世代の若者の学習支援への参画は、母語支援者の人材リソースを開拓するとともに、言語少数派児童生徒の役割モデルとして、子どもの学習意欲の向上や二言語保持、さらには進路選択の拡がりにつながると期待される。
|
研究実績の概要 |
本研究では言語少数派の児童生徒に対する教科学習支援に、移民第二世代の若者(以下「第二世代の若者」)が支援者として参画することの可能性を検討した。すなわち、自分自身が中学時代に母語を活用した学習支援を受けた経験をもち、今は高校生や大学生になった第二世代の若者の、国語の学習支援における教授行動の特徴を明らかにした。 分析の結果、第二世代の若者が主体的に進める「母語による学習」場面では、音読、内容理解、ワークシート記入の各過程で自立的な教授行動が確認された。沈黙や誤答に対しては手がかりや身近な具体例を示すことで生徒が自力で正答にたどり着けるように導き、正答の場合でも同じ中学校で学校生活を送った経験や、共通の母文化及び母国での学習経験を有している強みを活かして理解の徹底を図った。ワークシート記入の際には手だてを講じて生徒の記入を支え、記入後には内容と表現の双方を吟味した上で助言や評価を伝えた。一方、日本語支援者が進める「日本語による学習」場面でも、第二世代の若者は生徒の反応や状況を見ながら自らの判断で主体的に支援に関与した。また、日本語支援者の求めに柔軟に応じて<学習活動に参加する><支援活動を行う>行動をしていた。さらに、支援全般に渡って参加生徒に学習ストラテジーを伝え、二言語を持つ意義を語り、生徒の意欲を喚起する肯定的な声かけを行っていた。また、考えることや発言を促し続けるとともに、年齢の近い生徒に対して「教える側」としての立場をふまえた言動を取っていた。 以上、第二世代の若者の教授行動の特徴として、参加生徒と共通する日本での学校経験や母国での学習経験、そして母語の活用、さらには「生徒に考えさせる」姿勢が認められた。また「日本語による学習」においては、成人支援者とは異なって「支援する側」と「学習活動に参加する側」の立場を自由に行き来しながら支援できるという特徴も見いだされた。
|