研究課題/領域番号 |
21K00630
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02090:日本語教育関連
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研究機関 | 中央学院大学 |
研究代表者 |
田島 ますみ 中央学院大学, 法学部, 教授 (90534488)
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研究分担者 |
松下 達彦 大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所, 研究系, 教授 (00255259)
佐藤 尚子 千葉大学, 大学院国際学術研究院, 教授 (40251152)
近藤 裕子 山梨学院大学, 学習・教育開発センター, 准教授 (70734507)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2023年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 日本語 / 論説文読解力 / 語彙力 / 学術共通語彙 / 大学生 / 母語話者 / 日本語読解力 / 日本語母語話者 / 学術共通語彙テスト / 文章難易度 / 読解力 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は大学生の学術的な日本語の文章に対する読解力向上に資することを目指し、正確な読解に至らない大学生にはどのような問題があるのかを解明することを目的とする。論説文の読解力と学術的な語彙の理解力を測定し、語彙知識と読解の関係を分析する。その上で、読解テストの結果が低かった大学生に対し、より詳細なテストおよびインタビュー調査を実施し、どのような要因で読解が困難になっているのかを明らかにする。
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研究実績の概要 |
令和5年度9月に「大学生における日本語論説文読解力と学術共通語彙理解度の関係」のタイトルで論文を発表した。これは、令和元年度に所属学会で発表した内容をもとに新たな統計分析などを加えた、読解力と語彙力に関する量的調査であり、学術共通語彙の理解度が8割未満となると論説文の読解が著しく低下する傾向が示唆された。本研究はこの結果を踏まえて、さらに質的調査を行って読解困難点を明らかにすることを目的とする。論文化したことで質的調査の対象者が明確になり、先行研究の整理も進んだ。 議論していた調査に使用する読解テストに関しても、量的調査結果が一通りまとめられたので、本研究の本来の主眼であった質的調査に焦点を戻すことにし、読解テストは調査対象者を絞り込むためのツールと位置付けることとした。本研究内ではこれ以上の検討は避け、質的調査の研究を進める方向で考えている。 インタビューに関しては、令和5年度に日本語非母語話者である留学生と日本語母語話者の大学生に実施した。詳細な分析はまだできていないが、非母語話者の結果で専門的な知識があれば語彙の理解度が低くても専門書が読める、また語彙理解度が高くても文と文のつながりや文全体の理解が難しいなどの結果が得られている。日本語母語話者のインタビューでは母語話者であっても1文の意味の正確な理解や指示語の指示対象の把握に問題がある例が確認された。実施後、質問が読解テストの解答の選び方にやや偏り過ぎているように反省したので、本来の目的である読解困難点を抽出するインタビュー内容として再度実施することを予定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
前回の実施状況報告書にも書いたが、令和3年度から令和4年度にかけて研究代表者の私的事情(母の介護と看取り)により研究活動がかなり制限された。その後、本研究の出発点となる研究で、論文化が遅れていたものを論文として令和5年9月に発表した。本研究には益のあることであったが本研究の進行には影響があった。 また、本研究は日本語母語話者の大学生を主な調査対象者と考えているが、コロナ禍が落ち着きを見せ、対面の国際学会が再開されてきたことで、令和5年度は非母語話者の留学生を対象として読解に関する調査も行い、その結果から派生した問題に関して日本語母語話者の大学生を対象とした研究も行い、2回の国際学会での発表を行った(令和5年11月、令和6年3月)。さらに所属学会で、英語教育との連携を視野に読解力に関するパネルセッションを行った(令和6年3月)。これらの研究業績は本研究を遂行していく上で示唆に富むものではあったが、本研究そのものではないので、これらの研究活動で本研究の進行が遅れたことは否めない。
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今後の研究の推進方策 |
既にインタビューは母語話者で2回、非母語話者で1回実施している。この結果をまとめることも考えられるが、論説文の読解困難点をより明確に抽出したいという目標があり、さらにもう1回のインタビューを実施する予定である。令和6年度10月までにデータ収集を実施し、年内に分析を終え、例年2月に開催される所属学会の大会で口頭発表、さらに年度内に学会誌への投稿を終えるという日程で考えている。
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