研究課題/領域番号 |
21K00643
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02090:日本語教育関連
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研究機関 | 筑紫女学園大学 |
研究代表者 |
鴈野 恵 筑紫女学園大学, 文学部, 准教授 (60713352)
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研究分担者 |
佐々木 良造 静岡大学, 国際連携推進機構, 特任准教授 (50609956)
香月 裕介 神戸学院大学, グローバル・コミュニケーション学部, 准教授 (30758785)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 日本語教師養成 / 教師の省察 / 日本語教師の「態度」涵養 / リアリスティック・アプローチ / ケース学習 / 対話 / ALACTモデル / 本質的な諸相への気づき / ケース・メソッド / 日本語教員養成 / ケース・メソッド授業 / 態度 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、日本語教員養成において広く活用できる、日本語教師としての「態度」涵養教育プログラムとしての完成を目指す。 6か月のケース学習による省察活動および対話活動を提案、実践し、その特質と効果を検証する。ケースは、現職新人日本語教師に聞き取った事例を「日本語教員に求められる<態度>」(文化審議会国語文科会,2019)を参照し作成した。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は,日本語教師の省察力涵養プログラム開発である。多様化の一途をたどる日本語教育現場では省察的実践家であることが求められる。一方で,日本語教員養成では体系的に省察指導を実施しているとはいいがたい現状がある。とはいえ,実践経験を持たない履修生に対し,どのように日本語教師としての省察力涵養を促す指導をすればよいのだろうか。そこで本研究では,6か月のケース・メソッド課題により疑似体験の場を創り出し,省察活動を提案,実践し,その特質と効果を検証する。そのうえで日本語教員養成において広く活用できる教育プログラムとしての完成を目指す。 参加学生は10名で計6回のケース・メソッド課題に取り組んだ。各ケースにつき,事前省察(作文)→対話セッションの参加(各回60分程度)→事後省察(作文)という段階であった。分析対象データは,①事前省察文,②事後省察文,③対話セッションの逐語録,④事後アンケート,⑤フォローアップインタビューの逐語録となる。ケースは,「日本語教員に求められる<態度>」(文化審議会国語文科会,2019)を基盤としたものを,新任日本語教師に聞き取った事例から作成した。ケースの内容は,新任教師が現場で直面するコンフリクト場面であった。 本研究の研究課題は以下の4点である。(1)どのようなケースが参加学生の省察を深めるか。(2)対話セッションにおいて,他者のどのような発言に影響を受ける か。(3)参加学生はどのような省察の過程をたどるか。(4)ケース・メソッド授業による省察活動は第3局面(本質的な諸相への気づき)への移行にどのように寄与するか。 2023年度は試行セッションを実施しデータ収集3回目に着手した。対象は大学の日本語教師養成課程と日本語教師養成講座であった。また,並行して学会での口頭発表および論文執筆にも注力した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究の最終目標は,日本語教師としての省察力涵養のための教育プログラムを開発し実施・評価することである。当初,研究期間は3年間としたが1年間の延長申請を行った。 2023年度前半は調査と分析の成果を口頭発表としてまとめることに注力した。2023年度後半は本教育プログラムの試行に取り組んだ。 研究課題は次の4点である。(1)どのようなケースが参加学生の省察を深めるか。(2)対話セッションにおいて,他者のどのような発言に影響を受けるか。(3)参加学生はどのような省察の過程をたどるか。(4)ケース・メソッド授業による省察活動は第3局面(本質的な諸相への気づき)への移行にどのように寄与するか。 上記,研究課題を明らかにすべく,2023年度は静岡県と京都府の2つの機関でケース学習の試行を実施した。前者は日本語教師養成講座受講生,後者は日本語ボランティア教室の支援者を対象としたものである。また大学の科目にケース学習を初めて取り入れ,10ケースを14週にわたり扱った。事後アンケートからは,日本語教育現場の実態を知ることができたこと,1つのケースについて深く省察する道筋を知ったこと,対話セッションにより自分と異なる意見に向き合う機会を持てたこと等の記述がみられた。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の成果であるプログラム構築の一環として,教材化を目指していた。しかしながら,各方面での意見の調整,代表者のスケジュール調整など,さまざまな要因から作業進捗が遅れてしまった。2024年度は教材化を実現させるべく,最優先事項として注力する。 教材化は,[Ⅰ]日本語教師としてのキャリアのスタート,[Ⅱ]学習者と向き合うこと,[Ⅲ]同僚や先輩教師との関係という構成で進めている。完成した暁には,日本語教師養成課程・講座で深い省察を通した態度涵養の研修として用いられることが期待され,このリソースが広く普及するようさらなる研鑽を行う。
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