研究課題/領域番号 |
21K00655
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02100:外国語教育関連
|
研究機関 | 獨協大学 |
研究代表者 |
李 凱 獨協大学, 経済学部, 准教授 (10531543)
|
研究分担者 |
中西 貴行 獨協大学, 経済学部, 教授 (10406019)
狩野 紀子 拓殖大学, 外国語学部, 教授 (40350574)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
|
キーワード | 遠隔学習 / e-ラーニング / ラーニングアナリスト / AI / 学習履歴 / 可視化 / マルコフモデル / オンライン学習 / 英語学習 / 外国語教育 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究はオンライン英語学習のプロセスに着目し、学習活動のモデル化手法の開発、及び評価の多様化、諸学習活動の可視化を支援するe-ラーニングAIアナリストシステムの開発と実践を目的とする。具体的に次の3点を行う。(1)オンライン英語授業に求められる評価基準を設計する。(2)持続可能なオンライン英語学習を支えるための支援リソースを体系化する。(3)学習活動のモデル化、評価の多様化を支援するアナリストシステムの構築と検証を行う。本研究は、持続可能な自律学習の支援と教育の質保証の参照枠組として大学英語教育の発展に寄与するものと思案する。
|
研究実績の概要 |
本研究は、オンライン英語学習のプロセスに着目し、学習活動のモデル化手法の開発、及び評価を行う。今年度では、各学習ページでの滞在時間に着目し、データの構造化とクラスタリングによる学習行動を分類・比較した。また各学習行動パターンの特徴に基づき、適応型学習支援手法を提案した。 具体的に、Manabaのログデータを三つの視点で活動の量、活動の時間、活動の頻度から43個の変数を抽出するプログラムを開発した。データ構造化した結果として、一人ずつの学習活動を新たに44列 (IDを含む)の学習特徴で表すことができた。 また。構造化した44個の変数に相関関係が高く、情報量が低い冗長変数が含まれているため、学習活動を三つの視点 (活動の量、活動の時間、活動の頻度) に縮約し、k-means手法で学習活動の類似度からクラスターリング分類ができた。 次に、分類・比較した結果、自己効力感が高い学生は脱落危険とドロップアウト学生より活動の量が有意に高いことが分かった。また活動の時間に関して、自己効力感が高い学生と努力する学生だけに有意差が見られるが、ほとんどの学生が各ページの滞在時間が短く、ほかのクラスター間に有意差が見られなかった。活動頻度に関して、自己効力感が高い学生は脱落危険とドロップアウト学生より活動の頻度が有意に高いことが分かった。各学習行動パターンの特徴に基づき、持続的な自律学習を支える適応型学習支援手法を提案した。 今年度で得られた関連研究成果をEDULEARN とInternational Conference on Cognition and Exploratory Learning in Digital Age国際学会で発表した。次年度は、改良をふまえ、開発した学習行動パターン分類法及び適応型学習支援手法を用いて実証実験を行う。提案手法の信頼性・妥当性を検証・評価を行う。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度の計画は持続的な自律学習を支える適応型学習支援手法の開発及び予備実験の実施を行う。計画通りに、開発した予測モデルを用いて、学習者のオンライン学習活動を43種類に抽出でき、また三つの視点(活動の量、活動の時間、活動の頻度)でオンライン学習活動をモデル化・分類できた。そして、個々のグループに応じた適切な学習支援手法を提案した。 結果として、学習活動を43種類に抽出した結果、各学習ページへのアクセス数、時間、頻度を把握でき、個々の学習パターンを把握できる。全体的にコメントやスレッドのアクセス数が少なく、学生と学生、学生と教員間のインタラクションが少ないことが分かった。またレポートリストへのアクセス数が多く、レポート完成が目的でオンライン授業を受けていることが分かった。 クラスタリング分析した結果、4種類の類似したグループの学習パターンに分類できた。例えば、自己効力感が高い学生の学習頻度が高く、学習時間が短く、学習の量が多いことから、公開した講義内容の難易度と量を予測でき、その以上の参考資料やグループディスカッションの機会を提供すべきと考えられる。また脱落危険とドロップアウト学生の活動の量が少なく、学習時間が長く、頻度が低いことから、即時な学習支援、質疑応答の機会を提供する必要がある。 本研究は従来のレポートやテストによる総括的評価ではなく、三つの視点で学習活動の量・時間・頻度により学習プロセスを総合的な学習評価が可能になる。またManabaのログデータの基本構造は他のLMSのログデータと同様であるため、本研究のデータ構造化・クラスターリング手法を利用し、他のLMSにおける学習活動分析にも同様に対応することが可能である。以上の成果を関連する国際学会にて発表した。
|
今後の研究の推進方策 |
本研究は、オンライン英語学習のプロセスに着目し、学習活動のモデル化手法の開発、及び評価の多様化、諸学習活動の可視化を支援するe-ラーニングAIアナリストシステムの開発と実践を目的とする。初年度では自動的にManabaから学習履歴ログデータを取得できるプログラムを開発した。次年度ではRetentioneeringライブラリーを利用し、各ページ間での遷移確率を算出し、学習行動の遷移をモデル化・可視化した。今年度では、各学習ページでの滞在時間に着目し、データの構造化とクラスタリングによる学生の学習行動パターンを分類・比較した。また各学習行動パターンの特徴に基づき、持続的な自律学習を支える適応型学習支援手法を提案した。 最終年度では、改良をふまえ、開発した学習活動のモデル化と評価手法を用いて実証実験を行う。予測した学習パターンと評価結果を用いて、英語学習の4技能、学習到達目標CAN-DOリストの関係を量的に評価する予定である。実証実験で得られた研究結果を国内外の論文誌・学会で発表すると共に、システムをモジュール化・オープン化することにより、教育現場での活用・普及を目指す。
|