研究課題/領域番号 |
21K00659
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02100:外国語教育関連
|
研究機関 | 玉川大学 |
研究代表者 |
鈴木 彩子 玉川大学, 文学部, 教授 (00570441)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
|
キーワード | 国際語としての英語 / 異文化間シチズンシップ / 言語多様性 / マルチリンガリズム / 教育的介入 / 異文化市民教育 / ELF教育 / カリキュラム開発 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、英語教育に多様な文化・人種との共生を目指すIntercultural Citizenship Education(異文化市民教育)を統合させた国際共通語としての英語(English as a Lingua Franca、ELF)教育カリキュラムの開発を目的に行われる。英語を専門とする学生を対象に、4年間の大学学士課程で彼らが共通語としての英語力と異文化市民として社会と関わり合うために必要な英語力・知識・態度・スキルをどのように獲得・発展させるのかを追跡調査することにより、ELF教育カリキュラムに必要な実践的・論理的学びを洗い出し、それらを効果的に配置したカリキュラム案を提示すること目指す。
|
研究実績の概要 |
本研究は、英語教育に異文化市民教育を統合させた国際共通語としての英語(English as a Lingua Franca、ELF)教育カリキュラムの開発を目指すものである。異文化間市民性の育成は、現代社会において異質なる多様な他者と協働するために欠かせないと言われており、異文化間市民性を異文化の他者と交流するために広く使われている英語の語学教育と組み合わせて実施していくことは、今後、高等教育が社会から期待されるところである。 このような観点から、ELF教育カリキュラム開発のために「国際語としての英語教育に異文化市民教育を統合するための理論的・実践的根拠を提示する」という目標の下、研究3年目である2023年度は主に2023年2・3月に実施した大学生17名との個人インタビューの分析、それに基づいた論文執筆に多くの時間を費やした。それ以外にも、大学2年生・3年生に対する留学前後に行った教育的介入でのデータ収集(23年6~7月)も比較分析のために継続して行った。 個人インタビューに基づいた論文2本(2024年度刊行予定)では、留学前にELFや異文化間コミュニケーションに関する知識を得ることで留学中の多様な他者への能動的な関わりにつながること、また、留学後にそれらの体験を体系的に振り返る機会を得ることで、経験的知識を内省的知識に転換することが可能になり、それにより自身が今後従事する予定である英語教育に関し批判的な思考が出来るようになる可能性が高まることを明らかにした。また、2024年1月に行われた日本「アジア英語」学会のシンポジウムにおいても、これらインタビューデータに基づいた口頭発表を行っている。24年度はインタビューで明らかになったことを、留学前後の教育的介入でのデータと照らし合わせ、学生個人の異文化市民性の変化を辿ることで、ELF教育カリキュラムに必要な要素を洗い出したい。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度は2023年2・3月に実施した個人インタビューの分析、その結果に基づく論文執筆に多くの時間を費やしたが、それ以外のデータ収集も順調に実施できた。大学1年生に対するアンケート調査、大学2年生に対する留学前教育的介入および大学3年生に対する留学後教育的介入でのアンケート調査、リアクションペーパー回収を行った。 分析に関しては、インタビューデータはトランスクリプトを質的研究支援ソフトウェアでコーディングを行い、分析を進めた。また、それぞれのアンケート調査の量的分析はおおむね完了しているが、リアクションペーパーの分析に関しては、データ量が多いため2024年5月現在も質的研究支援ソフトウェアでコーディングを行うための処理を行っている最中である。 研究成果発表は2023年度中に執筆した論文1本が出版された。また、インタビューデータ分析に基づいて執筆した2本が2024年度中に出版予定である。学会発表に関しては、論文発表を予定していたAILA(International Association of Applied Linguistics)でのシンポジウムが他の複数の発表者の都合によりキャンセルされるなど、あまり多くの機会を得られなかったが、2024年1月に行われた日本「アジア英語」学会のシンポジウムで招待発表を行うことができ、ELFに対する教育議論の活性化に貢献できた。
|
今後の研究の推進方策 |
2024年度はこれまでに収集したデータの分析を中心的に行う。リアクションペーパーに関しては、データ量多さのため、なかなか詳細な分析まで取り組めなかったが、本年度はこれを行い、最終年度となる2025年度に体系的にまとめられるよう準備をしたい。また、これまでのデータ分析結果の口頭発表を国際学会で行い、研究成果について広く公表できるよう努める。 また、2024年度は長期研修のためイギリスに滞在しているため、イギリス国内のELFの研究者に協力をしてもらい、大学院でマルチリンガリズムについて学習をしている学生にグループインタビューを行う予定である。これにより、日本人大学生とイギリス大学院生の異文化間市民性の相違を見ていくことが可能となり、日本国内でELF国際共通語としての英語教育カリキュラム設計を行う際に留意する必要のある点を洗い出すことが可能となる。このインタビューに関しても、9月に行われるイギリスの学会で発表を行いたく、準備を進めている。また、年度内にリアクションペーパーを元にした論文を執筆し、国際学術誌への投稿も行う。
|