研究課題/領域番号 |
21K00679
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02100:外国語教育関連
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研究機関 | 奈良教育大学 |
研究代表者 |
吉村 雅仁 奈良教育大学, 教育連携講座, 教授 (20201064)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 複言語教育 / 高等学校 / 外国語教育 / 言語意識 / 能力としての複言語主義 / 価値としての複言語主義 / 複言語能力 |
研究開始時の研究の概要 |
小学校から高等学校にかけて専ら英語が強調される日本の外国語教育の中で、英語以外の外国語を扱う高等学校が一定数存在する。欧州の『ヨーロッパ共通参照枠』で指摘されるように、複言語能力の育成がメタ言語的認識を向上させ社会言語能力・言語運用能力を伸ばすとすれば、日本の外国語教育においても複言語教育は今後の言語教育政策を考える上でも注目に値する。 そこで本研究では、複言語能力育成のためのカリキュラムや評価ツールの検討を行いながら、学習者のメタ言語的認識および複言語能力の意識化がどの程度向上するかを継続的に評価し、それが結果的に彼らの日本語、英語を含む言語運用能力に与える影響を明らかにすることを目的とする。
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研究実績の概要 |
英語+5言語必修カリキュラムを持つ公立の高等学校において、前年度は1年次末に生徒の言語能力および言語意識について自己評価を中心とする総合的な調査を行ったが、2年次、3年次生徒の評価は学校側が実施しているアンケート調査の結果を参考にすることとし、研究プロジェクトとしては再度1年次のカリキュラムに改良を加えその効果を測定することとした。 その内容は、1年次最後に課題として予定されている言語と文化に関わる探究活動の時間を利用した、高校と小学校との協働授業である。高校1年次生は5言語の基礎を1年間学んできており、年度末には2年次で継続的に学ぶ言語を5言語の中から選択する。このプロジェクトは、同じ言語を選んだ生徒がグループを作り、当該言語について小学生に対する短いレッスンを計画・実施するものである。両学校の時間割を調整し、オンラインでグループごとに小学生に向けてレッスンを行い、実践後に高校生、小学生の振り返り記述を求め、その分析から両者への効果を評価した。結果として、小学生の多くは高校生のレッスンにより多様な言語への興味や学習意欲を高めること、高校生は、選択言語やその背景文化に関する自主的な学びによりさらなる動機が与えられただけでなく、当該言語を知らない人たちに対する効果的なコミュニケーションについて考えるようになることが明らかになった。 今回のプロジェクトは主として高校生の多言語の学びをさらに強化する目的で行われたが、副次的に小学生たちへの言語への興味や学習意欲を高めるという意図も含まれており、両者にとって効果が期待できるプログラム開発の萌芽が見えてきたとも言える。この詳細については、国際学会での発表ならびに国内学会誌への掲載により公開している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該高校の2年次、3年次への継続的な効果の測定は、学校独自の調査を参考にすることとし、1年次プログラムのさらなる改良およびその効果測定ができたこと、その成果を国際学会や全国紙で公開できたことは、本研究の目的にとっても大きな意味を持つと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
当該高校2年次、3年次調査すなわち本プログラムの継続的効果については、年度ごとおよび卒業生の各種テスト、入試結果を含め基本的には学校独自の調査を参考にすることとし、多言語を同時に学ぶ上で最も重要な1年次プログラムの改良にさらに取り組む予定である。 方向性としては、複言語教育を包含するとも言える複文化教育あるいは間文化教育をどのように既存の多言語教育に導入できるのかを当面の課題としたい。これは、CEFR(ヨーロッパ共通参照枠)においても言及はされているものの、具体的なカリキュラム等が示されているわけではなく、今後実践を伴う開発が求められると考えられるからである。
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