研究課題/領域番号 |
21K00689
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02100:外国語教育関連
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
川嶋 正士 日本大学, 工学部, 教授 (50248720)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 統語分析 / 斎藤秀三郎 / verbs classified / 文型論 / 5文型 / Swinton文典 / Nesfield文典 / 神田乃武の動詞4分類 / 斎藤秀三郎の統語分析 / 「5文型」 / 『英文法汎論』 / 英語教育史 / 教育英文法 |
研究開始時の研究の概要 |
日本の英語教育で人口に膾炙する「5文型」であるが、日本で導入された経緯から、現在までの発展と普及の過程を研究する試みはいままで皆無であったと言ってよい。 本研究では、この新規な問いに対し、初めて本格的に研究を行うことを目的とする。 今回の研究期間は、明治改元から1958年までとする。日本で 19世紀末に統語分析が隆盛して以来、新学制で初めて試案という文言が取れ、法的な拘束力を持つようになった1958年の第2回改訂中学校学習指導要領までの約90年間に、「5文型」が日本に導入され、普及し、現行型の「5文型」が公的に認知されるまでの経緯はどのようなものであったかを明らかにする。
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研究実績の概要 |
令和4年度は2本の論文,1回の国際招待講演,1回の国際会議発表を行った。論文は①令和3年度の研究課題であり,令和3年12月に投稿し,令和4年4月末に刊行されたものと,②令和4年度の研究課題である現行型5文型を含む,伝統文法における述部の分析に関する様々なアプローチに関する研究であった。 ①は,明治期より1917年に日本で初めて5文型が提唱されるまでの統語分析の発展における日本の統語分析の水端となるSwinton大小文典の統語分析を文型論の視点から研究したものである。これまでも大小文典に関する研究は多く行われてきたが,Complementの扱いなど視野の狭い研究であった。本研究では,小文典の統語分析が,そののち1880年代末までの国産英文法書の統語分析に影響を与えたことと,大文典の統語分析がMorell(1852)の目的語もComplementとみなす分析を踏襲したものであり,日本ではNesfield(1898)が読まれ始める前は大文典の分析法が踏襲されたことを明らかにした。 ②は,令和4年度の研究計画の一部を9月のハンガリー言語学研究センターからの招待講演で発表し,其内容をまとめたもの。5文型前後に発表された,現行型と編成が異なる5文型や,4文型,及びQuirk et al (1985)で提示された,いわゆる7文型(正確にはSeven Clause Types)などの,利点と欠点を対象比較した。この後,文型論の本質に迫るための萌芽的研究であるといえる。 これら文字化されたものに加え,令和4年度の1917年以降戦前までの統語分析や文型論の研究成果を令和5年2月にCamTESOL2023で発表した。現在はこの発表内容を論文化している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和4年度は,Covid19感染防止が緩和されたものの,依然として海外の渡航は制限されていた。その中で招待講演や国際会議での発表を通じて研究成果を国際的に発信することができた。 論文に関しては①令和3年度の投稿から4年度の刊行まで年度をまたいだが新奇な知見として公表できた。 また,②は令和4年度に行った研究であり,9月の招待講演で発表し,その後論文化できた。
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今後の研究の推進方策 |
今年度8月VietTESOLにおいて,新制中学校が発足してから1958年第2回改訂中学校学習指導要領で5文型が提示されるまでの主に検定教科書を中心とした研究を発表する予定。 今後の研究の推進に関しては,変更を余儀なくされる。令和4,5年度に研究打ち合わせで訪問する予定であったJohn Walmsleyビーレフェルト大学名誉教授(当時)が急逝した。氏は,川嶋の研究にこれまで最も深くかかわってきた。令和5年度の国際ワークショップの外国人講師招聘において英国やドイツの発表者募集も一手に引き受けていた。ワークショップを通じ,様々な研究者を紹介してもらい,今後の研究を加速するつもりでいた。しかし,氏がいない状況でワークショップは開催困難となった。 海外研究打ち合わせに関しては,Walmsley氏の逝去を補って余りある代替策を講じることができる。今年度,Marcel den Dikkenハンガリー言語学研究センター上席教授とJi Shim Youngサリジャアメリカン大学准教授に変えて訪問する。両者とも2006年に川嶋がGraduate School of City University of New Yorkを訪問した台に在籍しており,以来研究交流が続く。また,2017年度より受給した前回の科研費では両者を訪れ研究打ち合わせを行った実績もある。Dikken教授は伝統文法や英文法史に精通している。Young准教授は言語理論の専門家であるが,近年応用言語学の研究もしているので川嶋の研究を深化させるには最善の代案となる。両者とも,川嶋の訪問と研究打ち合わせを快諾している。
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