研究課題/領域番号 |
21K00711
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02100:外国語教育関連
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研究機関 | 東北学院大学 |
研究代表者 |
金 義鎭 東北学院大学, 工学部, 教授 (30364285)
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研究分担者 |
金 惠鎭 日本大学, 商学部, 教授 (40399176)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 韓国語教育 / 脳波 / スマートグラスによる教育支援 / Fmθ波 / 内的学び / ゲーミフィケーション |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,韓国語の本質的な知識向上を狙うため,学習者の習得過程が解明できるゲーミフィケーション・フレームワークの設計によるスマートフォン用教材の開発・活用を通して,外的学び中心の能動的学修に内的学びを加えた両学びの補完的融合モデルを構築する。開発教材の評価は学習者の脳波に着目し,その分析による定量化・可視化の客観的なデータ検証で習得過程を解き明かす。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、韓国語の本質的な知識向上を狙うため、学習者の習得過程が解明できるゲーミフィケーション・フレームワークの設計によるスマートフォン用教材の開発・活用を通して、外的学び中心の能動的学修に内的学びを加えた両学びの補完的融合モデル構築である。教材設計のモデルは学習者の脳波に着目し、その分析による定量化・可視化の客観的なデータ検証で習得過程を解き明かすことをねらう。 本年度では、以前開発した集団脳波の同時計測システムを用いて、学習過程における思考の変化を調べた。例えば、難易度が異なる言語領域(漢字)、数理領域(方程式)の問題を被験者に提示し、人間の認知能力と特定の精神作業遂行中の必要な労力の関係、すなわち精神的負荷について調べた。着目した脳波は認知機能と関連が深いθで、被験者の認知機能を定量的に測った。また、難易度毎の正解率やアンケート調査・比較をすることで、難易度による被験者の精神負荷も確かめた。今後は、精神作業中の集中がそのタイミングで精神的負荷に変わるかをθ波の出現パターンを測定・分析することで、学習者のパフォーマンスを向上させる新たな指標としての活用を考えている。 また、前年度に検討したスマートグラスを用いた教育支援では、システムの実装と動作確認までに行った。従来の問題点であった、処理速度を改善するために、ネットワークを用いたシステムを構築した。例えば、スマートグラスから視線処理で特定人物の顔画像を切り取り、その認識判定はネットワークシステムを介して、サーバーで行った。その結果、従来と比べて、特定人物の認識率を改善させたので、今後は集団人物の認識や、認識制度をより向上させたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究では、これまで簡易脳波計を用いた集団脳波測定システムを開発し、2022年度では8名の被験者を対象に、前頭部から出現するFmθを用いた精神作業時の集中度合を確かめた。これらの研究成果を基に、2023年度では集中度合をより詳しく調べるために、13名の被験者を対象に異なる難易度に着目した同時脳波測定を行った。その際、抽象・定性的な意味が強い集中度合を、集中、ワーキングメモリ、記憶という3つの認知機能を想定し、被験者の脳波(θ)の変動を測定した。また、日による心理状態の変化や項目間の順序効果を考慮し、繰り返し(5回)測定を行い、順序効果も考慮しランダムな項目順で測定した。測定した脳波を分析した結果、心理的難しさがθ波の増加に関連するとは限らずワーキングメモリ>記憶>集中>、順に大きく出現したことが確認できた。つまり、θ波で確認できる精神負荷は、ワーキングメモリによる負荷が有用な指標として考えられる。この結果から、韓国語学習において、単語暗記や文法などの思い出す領域に対して、θ波の変化が見られると思うが、会話など体の動きが伴う学習領域では、脳波に雑音が大きく発生し、適用できないことが今後検討課題である。 また、スマートグラスを用いた個人情報を画面に投映するシステムは、概ね成功した。特に、認識反応速度は、ネットワークシステムを用いたことで、1~3秒と従来と比べて大幅に短縮した。しかし、スマートグラスの解像度が低く、50cm~1mまでの認識率は90%以上の認識率であったが、1.5m以上での認識率が悪かった。そのため、複数人の同時検出ができず、今後の課題として残されている。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究では、廉価で装着が簡単な簡易脳波計を用いた集団脳波の同時測定システムを用いて、繰り返し測定を行い、前頭部中心の脳波の6~7Hzのθ波帯域に現れるFmθで被験者の集中状態が把握できた。しかし、この集中状態は、曖昧な意味を表し、より詳細な状態に分ける必要があった。そのため、本研究では、精神状態の集中が精神的負荷に与える基準、すなわち負荷の度合いを調べた。その被験者は従来の8名から13名に増やし、Fmθだけではなく、θ波との比較検討も考えている。また、日による脳波変動も明らかにしたいので、異なる日と被験者の対象として、二元配置分散分析法を用いることで、課題に対する日毎被験者の脳波変化も確かめたい。 また、軽量かつ簡易に運用できるスマートグラスと機械学習を用いた人物認識機能、データベース機能を活用した新たな教育支援システムの動作も確認したが、認識率や複数人物の同時抽出までは至らなかった。これらの解決策として、従来の認識モデル(VGG-16)を再度検討し、ファインチューニングの層をより増やすことで、パラメータ精度を確かめたい。また、訓練画像のサイズをより小さく設定し、スマートグラスから抽出できる小さな顔に対しても適用できるモデルを検討したい。最後に、集団人物認識においては、逐次認識の順位を設けることや、処理手順の検討も行いたい。
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