研究課題/領域番号 |
21K00759
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02100:外国語教育関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
西田 理恵子 大阪大学, 大学院人文学研究科(言語文化学専攻), 准教授 (90624289)
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研究分担者 |
八島 智子 大阪大学, 大学院人文学研究科(言語文化学専攻), 招へい研究員 (60210233)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 中学生英語学習者 / エンゲージメント / 動機づけ / 感情 / 英語学習動機 / 社会的要因 / 多変量分析 / 共分散構造分析 / 中学生 / ペア・グループ / 中学校英語教育 / 教師 / 学習者 / 情意 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は「学習者と教師の動機づけを高めるメカニズムの解明」をすることであり、量的・質的データを用いて混合計画法を使用して分析をするという新しい視点から英語教育教室内で起こりうる現象を精緻に考察する。教師要因については質的データを用いて教師自身の教室内での動機づけをどのように維持・喚起の現象を多面的に捉え、情意・環境的・社会文化的要因に関連付けて検討する。従って、本研究では、中学校英語教育において動機づけを高めるメカニズムを、①中学生の学習者要因と、②教師要因に関する視点で研究を行う。
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研究実績の概要 |
今年度は、公立中学生を対象として、エンゲージメント(行動・感情・認知・社会)、Enjoyment(楽しみ)(教師への感謝・個人的な楽しみ・社会的な楽しみ)、L2 Grit (興味・努力)に関する質問紙調査を実施した結果を分析している。2023年2月に306名の公立中学生を対象に、オンライン質問紙調査を実施した。まず、記述統計とクラスター分析を行っている。全体傾向として最も高い数値を示した要因は、楽しみ(社会的)(M=3.92)であり、次いで行動的エンゲージメント (M=3.91)、楽しみ(教師への感謝)(M=3.91)であった。次に同じ特徴を持つ学習者を分類するためにクラスター分析を実施したところ、3クラスターに分類された。Cluster 1 (109名)(エンゲージメントが低く、楽しみも低く、不安が高い)、Cluster 2 (94名)(エンゲージメントが高く、楽しみも高く、不安も中程度)、Cluster 3 (103名)(エンゲージメントが中程度、楽しみも中程度、不安は低い)の3つの群に分類され、多変量分散分析(MANOVA)を実施したところ全ての要因間に統計的な有意差と効果量が見られた。次に、相関分析と共分散構造分析を実施している。相関分析では、エンゲージメント、楽しみの要因間には中等度あるいは強い正の相関関係が見られたが、不安との間には相関がみられなかった。次に、共分散構造分析では、L2Gritからエンゲージメントへ高いパス係数が見られ、楽しみからエンゲージメントへのパス係数もみられた。不安からエンゲージメントへのパス係数は負の係数を示した。本結果については Psychology of Language Learning 5 (PLL5)で発表予定であり、Multilingual Mattersから出版される書籍の中へ論文を提出予定である。また予備調査の再分析結果をAILA World Congressで発表予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は当初の予定通り、2024年1月に再度オンライン質問紙調査を実施した。今回のオンライン質問紙では、エンゲージメント(行動・感情・認知・社会)、国際的志向性 (Approach, Vocation, News, Topics)、英語学習動機つけの調査を行っており、今後は、多変量分析、共分散構造分析を中心にして分析を行っていく予定である。またMotigraphを使った縦断調査を行っているため、自由記述に関する分析も実施する。教師への面接は次年度に実施することになり、さらなる調査を実施することになったため、研究期間を延長する。次年度は、複数名の教師を対象に半構造化面接を実施していく予定である。2022年に収集したデータは、論文執筆を終了しているために学術誌に向けて投稿を行っている。2023年に収集したデータは Multilingual MattersへBook chapterとして投稿を行う予定であり、執筆中である。国内外での学会発表については、すでに採択をされているのが Psychology of Language Learning (PLL5)と AILA World Congress であり、スペインとマレーシアで発表予定としている。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度に収集した質問紙調査の結果を国内外の学術論文で公表していく。さらに、2024年度に収集した質問紙調査データの分析を進め、分析結果については国内外の学会発表にて公表していく。2024年度はさらに、追加データの収集として教師の半構造化面接を行い、教師の面接データの分析をしていく予定である。従って、2024年1月に収集したデータの分析を行っていくことが、2024年度の推進方策となる。特に、質問紙調査の分析については学年別比較を実施するために多母集団同時比較検討が可能であれば実施する。また教師の半構造化面接については、グラウンデッドセオリーアプローチを基盤としてMAXQDAを使用して分析を行い、教室内外における英語授業に関する教師の心理的側面に関する構造と構造的変化を分析していく予定である。2024年度は、2023年9月に動機付け研究会にて特別企画を行い講演会を実施し、2024年3月にEma Ushioda先生 (University of Warick)を招聘して特別公演企画を実施した。2024年4月以降についても同様に特別公演企画の実施を行う。さらに、国内外での学会発表、ワークショップ、中学校での校内研修等を通して、研究結果の開示を行い、本研究課題の最終報告を行う予定である。
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