研究課題/領域番号 |
21K00764
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02100:外国語教育関連
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研究機関 | 群馬県立女子大学 |
研究代表者 |
神谷 信廣 群馬県立女子大学, 国際コミュニケーション学部, 教授 (70631795)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 共通テスト / 英語 / TOEIC Bridge / 4技能試験 / 大学入学共通テスト / テスティング / 第二言語 |
研究開始時の研究の概要 |
大学入学共通テストの英語は「リーディング」と「リスニング」により構成されているが、「スピーキング」や「ライティング」は測定しなくても良いのだろうか。この研究では、TOEIC Bridgeという4技能試験を活用することにより、大学入学共通テストが、学習者のどのような英語力をどの程度測定しているのかを明らかにすることにより、大学入学共通テストを4技能化するべきかどうか、あるいは民間の4技能試験を活用するべきかどうかという問いに対する科学的なエビデンスを与える。
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研究実績の概要 |
2022年度は、5月7日に大学のCALL教室で、本学に入学した新入生32名に対して、TOEIC Bridgeという4技能試験を実施した。前期試験と後期試験で入学した学生に関しては、後日事務局から彼女たちの共通テストの英語の点数を入手した。総合型選抜と学校推薦型選抜の学生は、後日成績通知書を見せてもらって、その得点を確認した。 更に3月14日と16日に、群馬県内の5つの高校と中等教育学校から36人の卒業生が参加した。共通テストの点数については、現在報告してもらっている段階である。 2021年度に収集した36名分のデータと合わせた合計68名のデータを用いて、共通テストのリーディングとリスニング、TOEIC Bridgeの各技能の点数の相関係数を出してみたところ、リーディング同士が0.62、リスニング同士が0.59、合計点数同士で0.69となった。これらの数値は、前回の研究で分析したセンター試験の英語の点数と、TOEFL Comprehensive Juniorという同じく4技能試験の点数の相関よりも低くなっている。 参加人数がまだ少ないのであくまで仮だが、これらの結果は共通テストで測定している項目と、TOEIC Bridgeで測定している項目がそれほど一致しておらず、言い換えれば半分程度は、別の項目を測定しているということを示唆している。センター試験の「筆記」から発音や文法問題がなくなり、これまでよりもリーディングの力をより純粋に測定するように改訂されたはずだが、思考力が新たに加わったことにより、英語力以外の項目を測定している可能性がある。ということは、共通テストだけでは総合的な英語力を測定することはできないので、2次試験においてスピーキングやライティングの試験を課す妥当性があることを示唆している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
3年間の合計で100人の参加者を見込んでいたが、これまでの2年間で104名が集まった。2023年5月に大学生に対して最後のテストを行う予定だが、現在29名の申し込みがあり、合計で133名となる。計画以上に順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度末に試験を受けてもらった高校生の共通テストのデータを5月中に集める。また同月に予定されている大学生のデータも、5月中に集まる予定である。その後、SPSSとAMOSを用いて、6月中にはデータの分析を終える。分析に際しては、研究協力者の2名の先生方 (筑波大学の小泉利恵先生とミシガン州立大学のPaula Winke先生)にご助言をいただく。8月19、20日に香川県で行われる全国英語教育学会で、その成果を発表させていただく。予算が余っていれば、海外の学会での発表も考えている。秋に、筆者が勤務する群馬県立女子大学にて、大学入試にフォーカスしたテスティングのシンポジウムをオンラインで開催する。ここでは筆者のセンター試験の研究結果、並びに本研究の結果を高校教員、大学教員、一般の方に提示させていただくだけでなく、上述の2名の先生を招聘し、テスティングに関する基調講演を行っていただく。これに並行して研究論文の執筆を進め、今年度中にLanguage Testing in Asiaという学術誌への掲載を行う。なおこの学術誌はすべての論文がオープン・アクセスなので、日本だけでなく広く世界中の人に読んでいただけるようになる。
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