研究課題/領域番号 |
21K00795
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02100:外国語教育関連
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
加藤 和美 東海大学, 海洋学部, 准教授 (60631801)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 国際共同授業 / グループワーク / プロジェクト学習 / インバウンド観光 / 英語運用能力 / 英語教育 / ICT / グループ活動 / 国際共同研究 / 教授法 / TBLT / PBL / 英語教育学 / クルーズ船 / 協働学習 / 国際交流 |
研究開始時の研究の概要 |
本申請者が勤務する大学から4キロ離れた場所に、世界の主要港を定期路線で結ぶ国際貿易港、清水港がある。2014年に9万トンクラスの外国クルーズ客船が入港したことを皮切りに外国客船の入港が急速に増えた。本申請者は学生と共に英語観光案内プロジェクトを行ってきた。しかし、下船した外国人観光客から要望を聞き、最適な交通手段を選択し、最適な観光ルートを作成するにはかなりの時間がかかることがわかった。そのため決まったルートを案内するだけにとどまっていた。そこで、観光客を案内する前に海外の学生とオンラインによる観光案内のシミュレーションを行い臨機応変に対応できる力を養うための国際共同プロジェクトの構築を行う。
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研究実績の概要 |
本研究者は学生と共に清水港のクルーズターミナルにて英語観光案内プロジェクトを10年に渡り行ってきた。実際に案内を重ねる中で、下船した外国人観光客から要望を聞き、最適な交通手段を選択し、最適な観光ルートを即座に作成するにはかなりの時間を要することがわかった。そこで、観光客を実際に案内する前に、事前にオンラインによる観光案内プロジェクトを海外の学生と共同で行い、観光ルートを計画し、シミュレーションしたのちに実際に港で観光客を相手にツアーを組む流れを構築する研究を始めた。学習者が臨機応変に英語で対応できる力を養うことを目的とした研究である。 研究1年目は教材・教授法の開発を行い、オンライン上で海外の大学と共同授業を行い、事前練習をするための環境を整えた。タスク型(TBL)とプロジェクト型(PBL)の教授法を組み合わせた授業展開を研究し、研究2年目からは実際に海外の大学生とオンラインで観光案内のシミュレーションを行った。カンボジアの大学生と異文化混合のグループで国際共同プロジェクト授業を4回行い、その様子を国際学会Cam TESOLにて発表した。さらに、「体験型の観光」が人気であることを意識し、陶芸を体験しながらその様子をオンライン中継にて世界に配信するプロジェクトを企画した。陶芸作成中に参加者からの質問に即座に答える国際交流イベントを実施し、臨機応変に対応できる力を養う機会をさらに増やした。研究3年目の2023年は清水港周辺の次郎長商店街を含めた観光ルートを作成し、商店街の人々と打ち合わせを数回重ねて実際に共同で観光ルートの案内を実施した。本研究にあたり、教材研究の頃から参加していた学生たちは、授業以外でも積極的に国際交流のイベントに参加するようになり、毎月何度も県内在住の外国人たちと英語で話す機会が増えたため急速に英語運用能力が上がった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究1年目と2年目は順調に進みすぎていたため、教材研究、オンライン授業、観光案内の実施を短期間で何回も繰り返すことができた。学習者は積極性が養われ臨機応変に対応できる力がついたが、それは学習者が教室外でも英語運用の機会を増やしていたためであると考える。英語力の向上が必要と考え、教室外でも英会話教室に通う学習者が増えたため、英語運用能力が上がったのは事前のオンライン共同授業の成果だとは言えなくなった。そこで、1年研究を延長し、2024年春に入学した1年生を対象に1年を通して教材とオンライン授業を受けたことによる結果の検証を実施し直す。
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今後の研究の推進方策 |
研究4年目は、2024年度新入生を対象にこれまでに作成した教材と教授法を利用して同文化間、異文化間でタスク活動を行った後、コミュニケーション能力と知識の習得の様子をオンラインの録画機能により記録する。同じく、国際共同プロジェクト学習の様子を録画機能により記録する。 そして、実際に観光地を英語で周り、実践の様子を動画録画により記録する。研究3年目に清水港周辺にある商店街の人々から次郎長通りの活性化のため学生の協力の依頼があった。そのため、オンライン授業の後の実践では観光客を次郎長商店街へ案内することもルートに入れたいと考えている。次郎長商店街には地元の食、歴史的建造物がある。歴史を学びたい観光客への案内の実践の場とする。実践後の各活動の効果の検証方法は次の手法を利用する。1.本申請者による録画のデータ観察により情報を得る、 2.学習者へのインタビュー調査により情報を得る、3.プロトコル・データ分析方法により情報を得る。プロトコル・データ分析の手法は、認知心理学から発達してきたものであり、被験者がグループ活動の最中に考えたり思ったりしたことを、発話もしくは記述させることにより、従来の内容把握テストなどでは測定が難しかった内面の発達を検証する方法である。 オンラインでのグループ活動の様子を録画により記録し、学生は録画記録を再生しながらその場の感情の変化や臨機応変に対応できる力の向上などを記述することで変化を検証する。実践後に学生へのインタビューによりさらなる検証を行う。
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