研究課題/領域番号 |
21K00808
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03010:史学一般関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
河上 麻由子 大阪大学, 大学院人文学研究科(人文学専攻、芸術学専攻、日本学専攻), 准教授 (50647873)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2025年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | 遣唐使 / 隋の文帝 / 則天武后 / 後宮 / 国風文化 / 唐風文化 / 天平文化 / 白鳳文化 / 唐前半期の文化 / 「唐」 / アジア / 文化再編 / ジェンダー史 |
研究開始時の研究の概要 |
国風文化は、遣唐使の中止を契機に誕生した日本独自の文化様式と理解されてきた。しかし近年は、唐物の消費を国風文化の特徴とする研究が有力になってきた。重要な視点であるが、唐物を熱狂的に消費したのは平安期日本には限られない。国風文化を理解しようとするならば、同時代アジアにおける他国の文化や日本の他時代における文化といかなる点において異なるのか、またなぜそのような差異が生じたのかを問う必要がある。 本研究は、第一に、アジアの文化と比較することで国風文化の特徴を描き出す。第二に、国風文化を他の文化と隔絶させる特徴が生じた背景について、文化史・アジア史・女性史の視点から明らかにすることを試みる。
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研究実績の概要 |
今年度は、日本古代文化における「唐」の内実を分析する前提として、日本史でいえば飛鳥時代から平安時代にあたる中国の、政治的・文化な変容をトレースする研究を行った。その成果として、論文(「『阿育王経』が梁武帝の崇仏に与えた影響について」『待兼山論叢』56、2023年3月、1-26頁)と共著(「隋の文帝」妹尾達彦編『アジア人物史 2ー7世紀 世界宗教圏の誕生と割拠する東アジア』集英社、2023年、237-308頁。「則天武后の権威の多元性」佐川英治編『多元的中華世界の形成 東アジアの「古代末期」』臨川書店、2023年2月、292-316頁など)を発表した。さらに研究成果を海外に発信するため、プリンストン大学で国際シンポジウムを開催(コ・オーガナイザーを務めた)するのみならず、国際学術講演二回(英語対面・中国語オンライン)を行った。 また本研究では、国風文化の特徴を、作り手であり消費者でもあった女性の存在感の大きさに求めており、分析の一環として日本の後宮システムを他東アジア諸国のものと比較している。その成果の一端を以て、国際シンポジウムにおける義江明子氏の講演へのコメントとして、日本古代の「双系的」とされる特徴を東アジア史の中で相対化することを試みた。 この他、「唐」文化導入の手段である遣唐使について、朝廷主導で組織的に知識が導入されていたことを、これまで先行研究ではほとんど使用されてこなかった「東大寺六宗未決義」という史料を用いて明らかにする論文を発表(共著)した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ禍下ではあったが、国際的に研究を発信する機会にも恵まれ、研究成果としても共著(4)や論文(1)を刊行することができた。ただし、国風文化研究を行う前提知識を整理することに思った以上に労力を割く必要があり、国風文化そのものを分析する原稿は刊行できなかった。そのためおおむね順調に進展している、と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
国風文化研究の前提とするべき情報はおおよそ収集することができたので、次年度以降は、国風文化をアジア史に位置付ける作業を実施していく。その際、海外出張が可能な状況となってきたので、各国の情勢に十分注意しつつ、海外での研究成果発信と文物調査を実施する。
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