研究課題/領域番号 |
21K00813
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03010:史学一般関連
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
小二田 章 早稲田大学, 文学学術院, 講師(任期付) (10706659)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 地方史誌 / 東アジア / 地方志 / 編纂過程 / 比較研究 / 史学史 / 社会 / ジェンダー / 邑誌 / 日本地誌 / 研究史 / 杭州 / 編纂 / 比較史 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、「地方史誌」を作り出す社会構造と人々の認識の変遷史を描き出すことである。世界史上の「地域の歴史的書物を編纂し必要とするようになる背景」を比較的に検討する議論と環境の形成、言い換えれば「地方史誌学」の確立が、本研究の根本的な目標である。本研究は、申請者個人の研究と、申請者が構築する議論の場の成果の二つに分けられる。申請者個人は、中国「地方志」の編纂過程と、近世東アジア「地方史誌」(日本の藩史、朝鮮の邑誌など)の編纂過程を検討する。一方で、各地域の研究者が集う「地方史誌」テーマのシンポジウムと、その成果をまとめた論文集を刊行することで、継続的な関心を持つ議論の場を構築する。
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研究実績の概要 |
本研究は、「地方史誌」(歴史を中心にある地方領域を記した総合的書物)が近世東アジアの各地域で共通して発生した原因と背景について考察を進め、その議論の世界史的比較の学術基盤形成を図るものである。 まず、先行課題「近世東アジアの地方史誌と中国の地方志編纂の影響」の英語論文投稿に関係して、本課題から投稿に関わる費用を支出した。現在、小二田章編『地方史誌研究の現在』(勉誠出版、2023年3月刊行予定)の編輯の最終段階に入っている。該編著では、全体を総括する「序論 地方史誌学宣言」を執筆し、地方史誌研究の起点となることを期待している。また、東アジア地方史誌の紹介と、各地研究者(中国・韓国・香港・台湾)への呼びかけとして、学会報告「東アジア地方史誌比較研究の形成」(第14回東アジア人文学フォーラム、Zoomオンライン会議、2022年12月10日)を行った。 さらに、報告者主催にてシンポジウム「地方史誌研究の現在2」(2023年3月13日、Zoomオンライン会議)を開催し、議論を行った。基調報告「「地方史誌」から考える」を行い、韓国・ヴェトナムの研究者など、各地研究者との意見交換を行うことができた。該シンポジウムの成果を基礎に、論文集『地方史誌研究の現在2』を、2024年5月刊行予定として計画している。 加えて、中国清朝初期の地方史誌とジェンダー言説の関係を検討し、論文「「地方志」における「列女」―清代の歴史家、章学誠を中心に」(『多元文化』12号、2023年3月)、2021年度の「宋代」言説の検討を加筆修正した「試論時間維度層面的“大宋史”―以知杭州蘇軾爲例」(『宋学研究』3輯、浙江大学宋学研究中心、2022年8月)を刊行した。さらに、大元大明研究会の公開報告会にて、水上遼「『オルジェイトゥ史』に描かれる14世紀のイランとユーラシア」の講演を企画し、コメントを行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
先行課題「近世東アジアの地方史誌と中国の地方志編纂の影響」の最終年度に絡む問題により、28万円の費用を本課題から出費することになり、使用計画に修正が生じた。コロナウィルス感染問題により、海外渡航全般ができず、研究の基盤となる海外調査や研究交流・文献調査が進まないことから、本課題の費用を「地方史誌研究の起点となる編著の編輯・周知に関する費用」に集中して振り当てることにしたが、執筆者の原稿提出遅延が原因となって、まだ刊行(と費用確定)に至っていない状況がある。 加えて、長らく目標となっている「単著刊行の準備」、また投稿はしたがその結果が戻ってきていない「英語論文の刊行」がまだ完成していない。 さらに、報告者の任期満了と新所属への着任に伴う様々な用務による負荷が大きく、それも進捗の遅れに関わった。
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今後の研究の推進方策 |
コロナウィルス問題の影響、また所属の変更などもあり、まずは編著『地方史誌研究の現在』(勉誠出版、2023年3月刊行予定)の編輯・配布に注力し、無事に完了させたい。また、その後継論文集である『地方史誌研究の現在2』(勉誠出版、2024年5月刊行予定)の編輯にも努力したい。 また、前研究課題からの課題である「英語誌刊行」も出来る限り今年度中に完了させたい。 これらの主編・主催項目以外でも、国内の資料・文献を出来るところから整え、研究計画の基礎としていくことで、十分な成果に繋げていきたい。
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