研究課題/領域番号 |
21K00826
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03020:日本史関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
蓑島 栄紀 北海道大学, アイヌ・先住民研究センター, 准教授 (70337103)
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研究分担者 |
谷本 晃久 北海道大学, 文学研究院, 教授 (20306525)
鈴木 建治 北海道大学, 文学研究院, 共同研究員 (00580929)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | アイヌ史 / 先住民族史 / 時代区分 / 北海道考古学 / 研究史 / 近現代の学知と社会 / 北方史 / アイヌ文化期 / アイヌ民族史 / 先住民族 / 時代区分論 / 歴史認識 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、「先住民族史としてのアイヌ史」の前提となる枠組みの構築を目指しておこなわれる。従来のアイヌ史研究における、理論と実証両面の手厚い蓄積・達成を踏まえつつ、「アイヌ史」の時代区分をめぐる学説史をつぶさに整理・検討し、その成果と課題を明らかにする。そのうえで、「先住民族史としてのアイヌ史」にふさわしい、独自の時代区分のモデルを提出する。
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研究実績の概要 |
研究実績の一点目として、前年度に成果を上げた学史研究の取り組みを堅実に継続し、「アイヌ史の時代区分」の研究史に関して調査・研究の進展が得られた。とくに、初年度から進めている、「アイヌ文化期」という用語の登場と変遷をめぐる研究史の検討をさらに推進し、その中間報告として3本の論文・研究ノートをまとめることができた(現在、『季刊考古学』『考古学ジャーナル』および「学知史研究会」編の論集に投稿中、校正中)。 また二点目として、「アイヌ史」をめぐる学史研究の一環として、初年度には新型コロナウイルス感染症の拡大により実施できなかった、研究者への聴き取り(インタビュー)を実施した。今年度は、歴史学、考古学、アイヌ文化研究をそれぞれ専門とする3人の研究者から、およそ1970~90年代にかけての研究状況や、当時の問題意識、現在の研究状況に関する所感等を聴き取ることができた。これにより、文字記録の遺漏を補い、当時の学界・社会の空気感をつかみ、より深く学史に迫る手がかりを得た。こうした取り組みは、「アイヌ史の時代区分」に関するこれまでの研究の成果・達成とともに、その問題点や時代的制約など、課題の抽出を進めるのにきわめて有益であった。インタビューは最終年度も継続し、その成果については、当人によるチェックと編集作業を経て、何らかのかたちで公開することを検討している。 当該年度の研究成果を、新しい『北海道史』などの自治体史の編さん方針・内容や、国立アイヌ民族博物館の展示計画等にどのように結びつけていくかといった、社会への還元・実践という側面についても、有意義な意見交換をおこなうことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該研究の大きな柱のひとつである、「アイヌ史の時代区分」をめぐる学史の検討について、中間成果を文章化し論文として投稿することが順調に進んだ。 また、初年度は新型コロナウイルス感染症の拡大のため実施できなかった、研究者に対する学史の聴き取り調査を、2022年度は3人の研究者に対しておこなうことができた。それにより、「アイヌ史」をめぐる近現代の学知に迫るうえで貴重な新情報を得ることができた。このことは、今後の「アイヌ史の時代区分」を構想していくうえでも、きわめて有意義であった。
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今後の研究の推進方策 |
今年度と同様に、「アイヌ史の時代区分」の研究史、学史に関する文献の網羅的な収集と整理、検討を継続し、それらを近現代の学知の流れのなかに位置づける作業を進める。あわせて、研究者への学史的なインタビューについても、引き続きおこなっていく。 並行して、「時代区分論」に関する近年の議論を整理し、その理論的課題の吟味を進める。 これらの研究を総合し、最終年度の成果として、「アイヌ史の時代区分」に関する独自のモデル(現時点の試案)を構築することを目指す。
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