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中世東国武家本領の構造的特質に関する復元的研究

研究課題

研究課題/領域番号 21K00828
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分03020:日本史関連
研究機関茨城大学

研究代表者

高橋 修  茨城大学, 人文社会科学部, 教授 (40334007)

研究分担者 高木 徳郎  早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (00318734)
菱沼 一憲  國學院大學栃木短期大学, その他部局等, 教授 (40399267)
田中 大喜  国立歴史民俗博物館, 大学共同利用機関等の部局等, 准教授 (70740637)
清水 亮  埼玉大学, 教育学部, 准教授 (90451731)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
キーワード茂木保小井戸郷 / 茂木氏 / 中世的景観 / 灌漑体系 / 石造物 / 中世城郭 / 茂木保 / 坂井郷 / 現況調査 / 武家領主 / 堀の内 / 水利大系 / 城郭遺跡 / 現地調査 / 五輪塔 / 板碑 / 旧公図 / 栃木県茂木町 / 東国武士団 / 本領 / 荘園調査
研究開始時の研究の概要

下野の在地領主、国衆として中世を生き抜き、佐竹氏に従い秋田藩士となった茂木家には、100通を越える古文書が伝えられた。そこには茂木氏の本領・茂木保の姿を偲ばせる文言が見出せるものの、今も農村景観を残す茂木保故地に中世的景観を復元する学術的な試みはいまだ行われていない。そこで本研究では、荘園調査や北関東の武士研究に精通した研究者の分担者の参加、茂木町教育委員会の全面的な協力を得て、中世地名・寺社名等の抽出、旧公図からの前近代の景観や水利の復元、寺社縁起の伝承収集、中世石造物の分布調査、城郭遺跡の分布・縄張り調査を実施し、各地の事例と比較検討しながら、中世東国武家領主の本領の構造的特質を追究する。

研究実績の概要

2023年度は、茂木保を構成する有力な郷の一つである小井戸郷の現況調査を実施した。例えば、郷内の中心部に所在する堀ノ内地区周辺では次のような現況を確認した。
堀ノ内の水田の灌漑は、塩田川に設けられた堰(上の堰)から引いた用水による灌漑に拠っていた。現在は堰の場所に設けられたポンプにより揚水されている。幹線道に沿った側の谷は南の山間の谷水も引かれている。この辺りの幹線道は、現在の改修された新しい道路の北側、すなわち小井戸光福公民館の裏側を、小字境に従って通っていた。五霊(ごれい)神社は「明神様」と呼ばれている。祀られている神の由緒などは伝わらない。米軍撮影の航空写真を見る限り堀ノ内に宅地は確認できない。また現在の堀ノ内に、堀や土塁など、屋敷や居館の跡を思わせるような遺構は見出せない。南西に接する山側に中之内がある。茂木氏の中間が給地を与えられている。さらにその南西に接して番城地がある。たとえば福島県いわき市の久世原館跡・番城地遺跡では、中世城館に接した平安期の鍛冶遺構が発見されている。この場合、「番城」は「番匠」を意味する可能性が高く、堀ノ内にほど近い場所に職人の居住地を連想することも可能かもしれない。
また茨城城郭研究会の協力を得て、茂木保内の中世城郭について分布・縄張り調査を実施した。『茂木町史』に収録されている城郭遺跡に関する縄張り図をはじめとするデータの再検討を行い、必要に応じて情報を追加・更新している。『町史』で確認されていない城郭遺跡については、極力縄張りとしての把握に努めている。城郭調査は、石造物の悉皆調査と合わせて、2024年度も継続して進める予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究は、中世武家領主の本領となった所領の構造的特質について、前近代に遡る旧景観を、東国では比較的良好に残す茂木保を主なフィールドとして復元的に解明することを目的としている。研究の柱として設定した大半の項目において、すなわち文献資料調査、水利体系を中心とする現況調査、石造物・中世城郭遺跡の調査、いずれも一定の成果が上がっている。
他地域との比較検討による情報の客観化については、初年度の研究会以後深められていないが、この点は、本研究の成果をまとめる過程において、あるいは本研究が終了した後においても、継続的に取り組んでいきたいと考えている。

今後の研究の推進方策

最終年度となる2024年度は、あらためて研究分担者による現地踏査を実施し、現況調査の成果(茂木保坂井郷・小井戸郷)について意見聴取を行い、ブラッシュアップを図ると同時に、不足している情報の追加に努めたい。また茂木町教育委員会と共同で実施している茂木保内の石造物に関する悉皆調査の成果についても整理を進め、同時並行して実施されている研究協力者による調査にも学び、究成果として取り込みたいと考えている。
4年間の調査成果は報告書にまとめることを目指しているので、その準備を進める。編集の過程で、総括研究会の開催を計画している。報告書の構成については、以下の通りである。
1、経緯 2、茂木保坂井郷現況調査報告 3、茂木保小井戸郷現況調査報告 4、茂木保の中世遺跡 5、茂木保の中世城郭 (・概観 ・各論) 6、茂木保の石造物 (・概観 ・瑞岩寺五輪塔と安養寺石塔群 ・茂木保の板碑) ・能持院の石塔 ①中世五輪塔  ②細川家墓碑) 特論「給分注文の再検討」/茂木茂木保・茂木氏関係史料目録/参考文献一覧/地図 茂木保の構成/付録 ①茂木保坂井郷現況調査図 ②茂木保小井戸郷現況調査図

報告書

(3件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 2021 実施状況報告書
  • 研究成果

    (17件)

すべて 2024 2023 2022 2021

すべて 雑誌論文 (13件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件) 図書 (3件)

  • [雑誌論文] 岩間不動院の五輪塔をめぐって―八田知家とその忠臣の物語―2024

    • 著者名/発表者名
      高橋修
    • 雑誌名

      かさま歴史ブックレット

      巻: 6 ページ: 1-10

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 五條市役所所蔵の地籍図類について2024

    • 著者名/発表者名
      高木徳郎
    • 雑誌名

      下村周太郎編『文書復元と歴史的景観復元の融合による栄山寺および栄山寺領の総合的研究』

      巻: 0 ページ: 136-146

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 本拠景観から捉える中世武士の地域支配2024

    • 著者名/発表者名
      田中大喜
    • 雑誌名

      『深化する歴史学史資料からよみとく新たな歴史像』

      巻: 0 ページ: 72-79

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 紀州有田郡の明恵と湯浅氏三代2023

    • 著者名/発表者名
      高橋修
    • 雑誌名

      和歌山県立博物館編『紀州明恵上人伝』

      巻: 0 ページ: 6-11

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 鎌倉幕府の地頭請所政策と荘園制2023

    • 著者名/発表者名
      清水亮
    • 雑誌名

      『国立歴史民俗博物館研究報告』

      巻: 245 ページ: 91-113

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 書評と紹介 落合義明著『中世東国武士と本拠』」2023

    • 著者名/発表者名
      清水亮
    • 雑誌名

      (『日本歴史』

      巻: 903 ページ: 95-97

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 解説 本書の内容と日本中世史研究の課題2023

    • 著者名/発表者名
      清水亮
    • 雑誌名

      田代脩『中世後期の領主と民衆』

      巻: 0 ページ: 293-313

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 文献史料にみる「鎌倉中」御家人の鎌倉屋敷―松吉里永子報告に寄せて―2023

    • 著者名/発表者名
      田中大喜
    • 雑誌名

      貿易陶磁研究

      巻: 43 ページ: 75-78

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [雑誌論文] ふみの森もてぎ監修・高橋修編『戦う茂木一族』の成果と課題2023

    • 著者名/発表者名
      清水亮 田中大喜 菱沼一憲 山縣創明 須貝慎吾
    • 雑誌名

      常総中世史研究

      巻: 11 ページ: 8498-8498

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 書評 榎原雅治著『地図で考える中世』2022

    • 著者名/発表者名
      高橋修
    • 雑誌名

      歴史評論

      巻: 871 ページ: 8286-8286

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 書評 田中大喜編『中世武家領主の世界』2022

    • 著者名/発表者名
      高橋修
    • 雑誌名

      日本歴史

      巻: 894 ページ: 8385-8385

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 内海世界の将門と貞盛2021

    • 著者名/発表者名
      高橋修
    • 雑誌名

      地方史研究

      巻: 413 ページ: 4-23

    • NAID

      40022721662

    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] 鎌倉御家人笠間時朝の造仏2021

    • 著者名/発表者名
      高橋修
    • 雑誌名

      日本歴史

      巻: 887 ページ: 64-65

    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [学会発表] 「茂木文書」とは何か2023

    • 著者名/発表者名
      高橋修
    • 学会等名
      公開研究会「茂木文書と科学との出会い」(加速器科学総合育成事業「和紙を科学する」と共同事業)
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [図書] 中世水軍領主論2023

    • 著者名/発表者名
      高橋修
    • 総ページ数
      249
    • 出版者
      高志書院
    • ISBN
      9784862152398
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [図書] 戦う茂木一族2022

    • 著者名/発表者名
      高橋修 藤井達也 大塚悠暉 泉田邦彦 森木悠介 千葉篤志 山川千博 山田あづさ 金子千秋 大山恒 中村信博 比毛君男
    • 総ページ数
      243
    • 出版者
      高志書院
    • ISBN
      9784862152268
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [図書] 八田知家と名門常陸小田氏2022

    • 著者名/発表者名
      土浦市立博物館
    • 総ページ数
      159
    • 出版者
      土浦市立博物館
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書

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公開日: 2021-04-28   更新日: 2024-12-25  

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