研究課題/領域番号 |
21K00836
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03020:日本史関連
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
大浜 郁子 琉球大学, 人文社会学部, 准教授 (60459964)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 田代安定 / 「旧慣」調査 / 近代日本の国家形成 / 近代沖縄 / 近代台湾 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、田代安定が行った沖縄と台湾の「旧慣」調査の全体像を明らかにするとともに、これらの「旧慣」調査が日本の近代国家形成と植民地統治にどのような影響を与えたのかを明らかにすることを目的とする。沖縄と台湾に対する日本の統治政策を総体としてとらえるためには、統治する側が統治開始以前からの「旧慣」をいかに取捨選択して実際の政策に取り組んだのかを明らかにすることが重要である。本研究は、田代安定が行った沖縄と台湾の「旧慣」調査資料に基づいて、日本が植民地において実施した「旧慣」調査を総合的に解明するための今後の研究の基盤づくりとなるものである。
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研究実績の概要 |
第二年度にあたる2022年度も、COVID-19の影響により、台湾大学図書館特蔵室蔵「田代文庫」の調査をはじめ、海外調査は延期せざるを得なかった。しかし、国内調査については、部分的に実施して、新史料の発掘や田代の八重山調査の足跡をたどって複数の旧集落調査などを行った。 新たに得られた史資料は、田代安定の関係史資料目録に追加し、翻刻して電子データに関連づけ、これらを分析する作業を重点的に行い、海外調査を除く研究は着実に進めるように努めた。さらに、国内外に分散所蔵される関係史資料のうち、デジタル化された史資料についても、できる限り収集して、総合目録の完成に備えた。 今年度は本研究期間の中間にあたるため、関連する研究成果の一部は、台湾・国立成功大学からの招聘により、国際シンポジウム「臺灣文化的形塑與構成」(2022年8月26日開催)にて、研究報告(オンライン)を行った。質疑応答や総合討論によって得られた本研究に関する感想などは、フィードバックして、最終年度である次年度に、反映させる予定である。本研究の波及的な成果として、「琉球処分」に関する識者談話を沖縄の地元紙に寄せた(2022年10月1日掲載)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的は、(1)台湾大学図書館特蔵室蔵「田代文庫」所収の「沖縄関係資料」を全文翻刻するとともに、特に、八重山諸島開拓「植民」に関する田代の建議が日本の沖縄統治政策その後の台湾統治政策の形成過程において果たした役割を解明すること、(2)国内外に現存する田代関係資料を収集するとともに、それらに依拠して、田代が八重山で行った「旧慣」調査の方法と彼の「植民」論とが日本の台湾統治に連関性を有していたことを解明すること、(3)国内外に分散所蔵されている田代関係資料をすべて網羅した総合目録を作成して、データベースを構築し、電子データ化すること、である。 この三つの目的のうち、(1)は、草書体で書かれた史料の翻刻作業は比較的順調に進んでおり、(2)は、国内調査については部分的に実施して、新たな史料の発掘や田代の足跡調査を進めることができており、(3)は、(1)(2)の作業に応じて進展している。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は最終年度にあたるため、台湾大学図書館特蔵室蔵「田代文庫」所収の「沖縄関係資料」の翻刻作業をできる限り進め、すでに調査・収集を行った国内外に分散所蔵される関係史資料の目録作成を継続し、新史料は目録へ追加して、電子データとの関連づけをできる限り行い、総合目録の完成に努める。 本研究によって得られた史資料に基づく研究成果は、研究報告して公表し、最終的に研究論文としてまとめ、学界への貢献をはかる。
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