研究課題/領域番号 |
21K00850
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03020:日本史関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
三宅 正浩 京都大学, 文学研究科, 准教授 (30612303)
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研究分担者 |
木土 博成 京都大学, 文学研究科, 助教 (10737456)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 大名 / 武家 / 幕藩関係 / 蜂須賀 / 家綱政権 / 幕藩領主 / 政治意識 / 近世大名 / 世代差 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、近世成立期(16 世紀末~17 世紀)における幕藩領主の政治意識の世代差について、その格差を個別の家ではなく幕藩領主層総体の格差を構造として把握することを通して、政治構造・意識の転換の諸段階を解明して提示することを目的として実施する。 まずは、モデルケースとしていくつかの大名家を取り上げ、当主および家臣の世代交代について、軍事的要素に着目して分析する。並行して、幕藩領主層全体の世代交代について、先行研究や諸史料を参照しつつ、時期・年齢などについてデータを集め整理する。 最終的には、上記の成果・データをに加えて、法令や書状を用いて分析し、世代交代の様相を構造的に把握して提示する。
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研究実績の概要 |
近世成立期(16世紀末~17世紀)の幕藩領主の「政治意識の世代差」を把握し、そこから政治構造の転換の歴史的諸段階を解明して提示するという、本研究の目的に基づき、本年度は以下のような内容について研究を実施した。 まず、前々年度・前年度に引き続き、研究の基盤となる近世大名データベースの構築に向けた作業等を実施した。昨年度に全ての基本データ入力が終了し、同じく昨年度に個々に入力した基本データの統合や表記統一が終了していたことを前提に、今年度は、主として検索システムの構築を図った。特に、地域ごとや大名家ごとのデータ抽出が可能になるようにデータを調整し、また、年齢データを用いた検索方法の模索をおこなった。こうした作業の結果、近世大名の世代差を探る上で最も重要な、大名の生没年、家督・隠居年を用いたデータ抽出が可能となり、近世大名総体としての世代差分析の研究基盤が整ったといえる。今後、このデータベースをさらに調整しつつ、データベースを活用して、大名の世代差について新たな知見を導き出す考察を進める予定である。 次に、個別事例研究として進めている徳島藩蜂須賀家の分析については、前年度に引き続き、蜂須賀正勝・家政父子の発給文書の網羅的収集を行った。蜂須賀正勝文書については収集を完了することができ、蜂須賀家政文書についても、関ヶ原合戦以前についてはほぼ収集が完了した。さらに、来年度に向けて、収集した史料の活字化と分類を進める道筋をつけたところである。 加えて、本研究の本年度の大きな成果として、武家の世代差の観点から、三代将軍家光の時期から四代家綱の時期にかけての政治史を描く成果を文章化することができた(拙稿「幕藩政治の確立」、『日本近世史を見通す1』吉川弘文館、2023年)。これは、武断政治から文治政治という従来の政治史の枠組みを、世代差の観点から相対化しようとしたものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究を通して完成させる予定であった近世大名データベースを今年度に完成させることができ、次年度にさらに発展的なデータ追加を行う時間的余裕が生まれた。また、研究対象時期(17世紀)の政治史全体を世代差の観点から素描する成果を文章化することができた。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、今年度に引き続き、リサーチフェロー(RF)を雇用して、完成した近世大名データベースについて、さらにデータや検索項目の追加を試みる予定である。加えて、収集した蜂須賀正勝・家政文書について、翻刻・整理作業を進め、研究基盤となる史料集として整備する予定である。これらの作業により、本研究で目指す、「総体としての武家の世代差」の様相をつかみ、構造的に示すことができるはずであり、それを最終年度となる次年度の到達目標とする。
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