研究課題/領域番号 |
21K00853
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03020:日本史関連
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
豊見山 和行 琉球大学, 人文社会学部, 客員研究員 (40211403)
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研究分担者 |
赤嶺 守 名桜大学, 公私立大学の部局等, 教授 (20212417)
麻生 伸一 琉球大学, 人文社会学部, 教授 (30714729)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 分散古文書 / 多良間島農務帳 / 尚家文書 / 御評定所科文 / 倹約令 / 蒙姓糸数家文書 / 丑年惣頭物成帳 / 言上写 / 疱瘡養生書 / 満漢合壁表奏文書 / 親見世旧記抜萃 / 琉球古文書 / 市来四郎 / 琉球国要書抜粹 / 宗属関係史 / 奄美諸島 / 多良間島 / 久米島 / 分散琉球古文書 / 台湾大学図書館蔵 / 田代安定 / 天理大学蔵 / 石室秘稿 |
研究開始時の研究の概要 |
沖縄県外に分散した琉球古文書に関して調査・収集する。少点数の文書は今回の計画では割愛し、点数の多い古文書史料群を対象とする。具体的には、台湾大学図書館蔵の琉球関係文書、天理大学図書館の琉球古文書、そして国立国会図書館蔵の市来四郎関係の石室秘稿などである。可能な限り、調査・収集と並行して、それらの史料の翻刻作業を行い、ひろく公開することを目指すものである。
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研究実績の概要 |
本科研の目的は、第一に沖縄県内外に分散した琉球古文書の調査・収集を行うこと、第二にそれらの古文書を史料学的に分析・研究することにある。第一については、新たに「多良間島農務帳」(多良間村ふるさと学習館蔵)を発掘した。また、2023年に那覇市歴史博物館へ寄託された糸数家文書(那覇士族蒙姓)に関しても、その全体的状況を把握することができた。第二については、本科研の初年度から継続してきた『御評定所科文』(ハワイ大学蔵、全108丁)の読解を週一回のペースで行い読了した。その全文を翻刻し、テキストデータとして完成させた。その他、「渡唐人江仰渡」(「尚家文書」295号)の読解、翻刻にも着手した。 オンライン会議で、本年度の研究計画の打ち合わせを行い、その後、研究分担者・研究協力者を含めたオンライン・対面による研究発表会(1回)を実施した。豊見山和行(研究代表者)「評定所筆者科に関する新出史料の紹介と検討―ハワイ大学図書館阪巻・宝玲文庫蔵『御評定所科文』を中心に―」、麻生伸一(研究分担者)「琉球国末期の倹約令について―『御欠略付諸間切諸嶋江申渡候条々』を中心に―」、金城善(研究協力者)「明治10年の『多良間島塩川村丑年惣頭物成帳』と同22年の『多良間島仲筋村丑年惣頭物成帳』に見る多良間の人々」、大城直也(同)「那覇士蒙姓糸数家文書について―史料紹介とその特徴―」である。関連して、多良間村教育委員会とタイアップした文化講座「古文書に学ぶ島の歴史、繋ぐ未来」において、豊見山「『多良間島公事帳』と『多良間島農務帳』から多良間島の歴史を探る」、麻生「書状関係史料について」を報告した。これらの多くは旧来、未発掘・未検討の古文書である。史料的に空白となっていた領域をカバーするだけでなく、新たな歴史像を構築する上で重要な史料的価値を有するものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の研究計画において、取り組むべき古文書の研究会を週一回の頻度でほぼ実施したことから、「御評定所科文」を読解し全文テキストデータとして翻刻することができた。それ以外にも、旧来、誤認されていた史料(「宮古島農務帳」)の内容を詳しく検討することによって正確な史料名(「多良間島農務帳」)に訂正した。これらの史料整理や翻刻によって、「御評定所科文」からは、琉球国での科試(琉球版科挙)の内実を明らかにすることができた。「多良間島農務帳」からは、近世の多良間島の農業および生業や食料問題など、島民の生活史へ解明が可能となった。研究分担者による史料整理および分析も着実に進展した。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は最終年度に当たっているため、第一に、これまで発掘・紹介・翻刻してきた史料類を全体的に整理し公開へ向けた作業を行うものとする。 第二に、当初の研究計画において調査対象史料としていた天理大学天理図書館蔵「琉球古文書」(350点余)の修復作業が完了し、本年4月に同図書館において一部が公開展示された。同図書館による公開態勢が整ったことから、同文書群を調査し、それらを全体的に把握した上で、収集可能な古文書に関しては、具体的に読解・翻刻を行うものとする。 第三に、研究分担者が取り組んできた史料類を整理し、全体的な取りまとめを行う。 第四に、本科研の取り組みについて、歴史研究者だけでなく関係する分野の研究者、および琉球史に関心を持つ一般聴衆を対象として、公開研究発表会を開催することで、本科研の成果を広く紹介することに努める。そのことを通して今後の検討課題を明らかにしたい。
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