研究課題/領域番号 |
21K00862
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03020:日本史関連
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研究機関 | 広島経済大学 |
研究代表者 |
平下 義記 広島経済大学, 経済学部, 准教授 (20780810)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | 近代法体系 / 商法 / 民法 / 義倉 / 義倉社 / 近代法 / 福山義倉 / 地域資産 / 所有権 / 財団法人 |
研究開始時の研究の概要 |
近世日本では藩財政・地域有力者などが共有する地域資産が地域社会の安定を支えていた。明治政府の導入した近代法体系は資産共有慣行を否定したため、地域資産は、政府没収による消滅、町村単位への分割、財団法人化による所有権の単一化、など多様な帰結を見せた。本研究は、所有権の単一化を実現した事例として福山義倉を位置付け、廃藩置県から民法施行までの近代法体系形成期におけるその運営実態を解明する。そして、近代法体系への包摂が、地域資産が永続して地域社会への貢献を実現する上でのキーであったと展望する。
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研究成果の概要 |
本研究の成果として、近代法体系の法理が福山義倉社の運営実態を大きく組み替えていったことを実証した。廃藩置県後、領主規制から解放された義倉社は、金融業と地主経営を主軸としつつ、経営者とその拠点地域への利益誘導を第一義とした結社となっていたが、取引の安全や所有権の確定を志向する近代法体系の形成により、その営利的な性格が矯正され、義倉社が地域貢献を拡充させていったことを実証した。以上の研究成果については、査読付き学術雑誌『社会経済史学』(90巻2号、2024年)に掲載されることが決定している。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究の成果として最も強調されるべき学術的意義は、法制史研究と地域社会史研究を統合した分析手法を確立したことである。具体的に言えば、法理論が義倉社に与えた影響を論じつつ、地域の多様な史料を総合的に検討したことにより、分野横断的な研究成果を挙げることに成功した。近年、法理論と実体経済の関係を問題にする研究が盛んであるが、それらが法制を経済発展に適合的なものとして捉える傾きがあったことに対して、本研究は、法制整備による公共性の拡充を明らかにするという新たな論点を付け加えるものであった。
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