研究課題/領域番号 |
21K00868
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03020:日本史関連
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
中村 元 新潟大学, 人文社会科学系, 教授 (20710346)
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研究分担者 |
大川 啓 神奈川大学, 国際日本学部, 教授 (00779986)
畔上 直樹 上越教育大学, 大学院学校教育研究科, 教授 (20315740)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 都市史 / 地方都市 / 都市協議機関 / 北信各市 / 日本近現代史 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、従来ほぼ検討されていない20世紀前期日本の地方都市協議機関について、その一つである北信各市聯合協議会に即しその実態を解明すると共に、そこでの議事等から当該期に地方都市史が共に直面していた課題を析出し、その課題を上記の協議会加盟都市である新潟市、高田市、富山市、高岡市等の具体的状況に照らして考察することで、地方都市史を通じ日本近現代都市史研究に新たな展開をもたらすことをめざす。
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研究実績の概要 |
本研究は、都市協議機関の一つである北信各市聯合協議会に即し、地方都市史を通じて日本近現代都市史研究に新たな展開をもたらすことを課題としている。 (1)この課題に対応するに際しては、日本近現代都市史研究の研究動向を十分に把握し、これを実際の都市史研究に適用しながら論点を確認することが不可欠である。研究代表者の中村元は、『歴史学研究』1042号に寄せた「男子普通選挙開始期日本の都市における「地域的公共」運営と無産政治勢力-東京府八王子市を事例に―」において、近年の日本近現代都市史研究の動向をふまえ、そこで見いだされる「社会都市」論などの論点を、従来からのフィールドである大都市東京近郊の地方都市である八王子市の研究に適用し、その展開可能性を検証した。 (2)本研究ではまた、2023年度の課題の一つとして、対象とする都市である新潟市、長岡市、高田市、富山市、高岡市について、協議会から抽出される新たな視角から各都市の行政的政治的社会的な動向を解明することを掲げた。この課題を深めるため、2023年9月21日・22日には、新潟市北区郷土博物館、新潟市文書館において、研究代表者の中村、研究分担者の畔上直樹、大川啓による共同史料調査を実施した。また上記の課題とも関連して、研究代表者の中村は、1920年代から30年代にかけての新潟市における地震観測に関する史料を調査し、2023年11月18日に行われた第11回歴史地震史料研究会において「1920・30年代地方測候所の地震調査について-新潟測候所の事例に即して」と題する研究報告を行った。また中村は、当該期都市の課題である感染症対策に注目し、『長岡市史双書62号』に「近現代新潟県の感染症に関する歴史研究から考える史料保存」を寄稿し、新潟市をはじめとした県内における歴史の中の感染症対策の動向を整理した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究は、北信各市聯合協議会に即しその実態を解明すると共に、そこでの議事等から当該期に協議会に参加していた地方都市、その中でも特に、新潟市、高田市、富山市、高岡市が直面していた課題を具体的に検討することを課題としている。 2023年度には、対象都市の一つである新潟市について、新潟市北区郷土博物館・新潟市文書館での研究代表者・研究分担者共同史料調査を実施した。調査の中では、1918年の米騒動に関わる『救済施設関係書類』などの史料のほか、新潟市周辺町村における社会事業関係の史料などが見出され、当該期の都市及び都市近郊地域における社会の状況に対する行政対応の具体相が把握された。以上のように2023年度には共同史料調査に基づいて、本研究の課題に関わる成果が見られた一方で、県外の富山市、高岡市での調査を検討していた2023年度末(2024年1月)に能登半島地震が発生したことの影響を受け、富山市、高岡市の史料所蔵機関での調査までは実施に至らなかったため、進捗はやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の最終年度となる2024年度には、これまで研究代表者・研究分担者が着手してきた新潟市、長岡市、高田市、富山市、高岡市に関する検討をいっそう深める方向で研究を進める一方、これらの諸都市を検討する手掛かりとなった北信各市聯合協議会に関する検討も同時にいっそう推進する。またこれまでの検討の中で、北信各市聯合協議会に関する史料として最もまとまっているのは、新潟市文書館で保管されている『北信各市聯合協議会関係綴』であることが明らかになったので、本史料に関する分析を精緻化し、本史料からの情報抽出、収録されている議事録の翻刻などを進め、本科研の研究成果として、『北信各市聯合協議会関係綴』に収録されている諸情報を広く公開し研究利用できるよう、準備をおこなう予定である。
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