研究課題/領域番号 |
21K00870
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03020:日本史関連
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研究機関 | 和歌山大学 |
研究代表者 |
海津 一朗 和歌山大学, 教育学部, 教授 (20221864)
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研究分担者 |
吉村 旭輝 和歌山大学, 紀伊半島価値共創基幹, 准教授 (80566331)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 西岡虎之助 / 講義録 / 東京帝国大学経済学部 / 西岡史学 / 民衆史研究 / 日本女子大学校 / 天皇の戦争責任 / 人口問題 / 紙背文書 / 荘園史 / 民衆史 / 歴史教育 / 皇国史観 / 人物相関図 / 講義ノート / 近代史料 |
研究開始時の研究の概要 |
和歌山県出身の中世史研究者・西岡虎之助については、皇国史観の只中にあって科学的実証的主義な立場を貫いた「抵抗の歴史家」、敗戦後の歴史学・歴史教育において絵画史料・国文資料にもとづく豊かな歴史像を追求した「民衆史研究の創始者」として史学史的な評価が定まっていた。2010年西岡遺族3家より和歌山大学が史料の寄託を受けたのを機に、「西岡虎之助コレクション」と名付けて論文原稿・履歴証書・典籍類と順に整理を終えて、博物館展示等で公開した。残る未整理分の「雑文書」概数10000点のうち、1930年~40年代を中心にしたメモ類より成る「雑文書」を合わせて、西岡コレクション研究を完成したい。
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研究実績の概要 |
2024年度は、前年度以来の講義ノート(国学院・大正大)解読作業による西岡虎之助「教え子」人脈の発掘を継続し、東京大学経済学部と日本女子大の教え子を追跡した。東京大学については、敗戦後1945年の開講講義であり、大学の歴史教育に大きな影響を残した。また日本女子大(含む大学校時代)は、筆写史料の紙背文書中に複数のレポートが確認されており、戦前日本の女子教育の在り方が明らかにできる。(この成果はまとめて日本女子大に照会して意義を追試してもらう予定である)このような講義ノートの分析に並行して、紙背文書を精査して、史学史上意味のあるものとして、次のような分類を立てた。 1類:書簡 A西岡執筆(案文土台・未発送分) B西岡宛(授業関係・研究交流・出版関係)、形状は封書のみと断簡のみが大半で、原稿用紙か用箋に区分される。 2類:東京大学史料編纂所時代の手続き文書(含む出版構想メモ類) 3類:実物史料(諸印刷物学術関係、雑誌原稿、審査原稿など)4類その他の紙(チラシ・たばこ・図書申請札・領収書・株式関係)風俗史料として貴重だが、今回は検討しない。 作業手順が整ったので、上記分類によって紙背文書を抜き出して、1→2→3類の順で整理・解読作業に入る。残り時間を勘案して、雑文書群から直接抜きだして整理するという作業方法を採用することに決断した。また、史料の所蔵者が変更されたので(虎之助長男家から三男家に)、以上の方針と3年間の研究成果を説明・了解いただくことが新年度の最初の仕事となる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
第1・2年度の感染症対策で寄託所蔵さきの書庫が閉鎖されたこと(自由に文書を捜せない)、関係機関の出張調査ができなくなるなど(各大学大学編纂室との連携)、世界的な「感染症禍」に加えて、西岡講義ノートの発見(とくに敗戦後の開口講義、東大経済学部)、紀伊国明恵遺跡の再検討が関係学界の注目を集めた。 上記の影響によって、本来の主要課題になる紙背文書の分析は、全体の6割程度の確認段階にとどまっており、作業方法の変更と主題に即した史料選択への移行を検討した。
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今後の研究の推進方策 |
雑文書(西岡筆写史料)のうち、史学史的に価値の高い、古文書(書簡)を抜き出して分析することで作業を能率化・高度化する。雑文書中の古文書の原位置についてはわかりやすいマークをつける。 西岡史料の性格から、職場である東大史料編纂所の内部文書が多数所在することがわかっているが、これについては今回の研究対象から外すことで作業を省力化する。風俗史料や私的覚書も同様に扱う。所在については一覧表で示して、今後の研究にゆだねることとする。 また雑文書の群を解体するに当って、務年号文書の年次比定および史料保存の観点から原位置を追跡可能にするための配慮を行う。具体的には、可能な限り原入りに附箋を入れ、一覧表にグループを明記する処理を計画・試行している。
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