研究課題/領域番号 |
21K00882
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03020:日本史関連
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研究機関 | 比治山大学 |
研究代表者 |
安間 拓巳 比治山大学, 現代文化学部, 教授 (40263644)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 中世鉄生産 / 製鉄職能集団 / 製鉄遺跡 / 中世製鉄遺跡 / 荘園公領制 / 鉄素材の流通 / 安芸北部 / 中世職能集団 / 小見谷製鉄遺跡群 / 製鉄炉地下構造 / 安芸吉川氏 / 中世製鉄技術 / 歴史景観復元 / 地域振興 |
研究開始時の研究の概要 |
広島県北広島町に所在する小見谷遺跡群中の2~3遺跡の考古学調査を実施し、出土資料の理化学的分析も行って、中世の製鉄技術や遺跡群の操業年代を把握する。また吉川元春館跡出土資料の分析も行い、両遺跡の年代的・技術的な関連を調査する。併せて歴史史料に見える中世の鉄・鉄器生産集団の様相をまとめ、その活動実態や領主権力との関係について考察する。さらに、小見谷遺跡群と吉川氏関連遺跡の関連から、この地域における中世の歴史的景観の復元を試みる。
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研究成果の概要 |
安芸北部の中世鉄生産の技術や歴史的背景、鉄生産を行った製鉄職人(集団)の活動実態を、小見谷遺跡群の発掘調査の結果と出土遺物の化学分析調査および文献史料から窺える同地域の領主層の動向と関連づけて考察した。製鉄遺跡は近隣の吉川元春館跡との関連を想定し15世紀末~16世紀代と予想していたが、放射性炭素年代測定の結果14世紀代まで遡ることが判明した。このことから、吉川氏が厳島神社領であった志路原荘内のこの地域を早い段階で領有したのは、この地における鉄生産を掌握するためであったと想定された。また検出された製鉄遺構は石見南東部に類似例があり、製鉄職人の動向を明らかにするための重要な事例となった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
製鉄遺跡の発掘調査では新たな調査例を加えることとなり、安芸北部地域ならびに中国地方西部における鉄生産の歴史や技術の解明につながる成果を得ることができた。遺跡の年代が14世紀頃と判定されたことで、調査を実施した遺跡が所在する地域が13世紀中頃に厳島神社へ納められていた「三角野村の鉄」の生産地に関連する可能性が浮上し、荘園公領制下における鉄生産の様相を知る上で重要な手懸りを得ることができた。また検出された遺構と類似したものが石見地方南東部でも確認できたことで、両地域をまたぐ形で活動する製鉄職人(集団)の存在が想定され、中世における鉄生産の操業形態の一端を推定できるようになった。
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