研究課題/領域番号 |
21K00886
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03030:アジア史およびアフリカ史関連
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
新宮 学 山形大学, 人文社会科学部, 名誉教授 (30162481)
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研究分担者 |
大野 晃嗣 東北大学, 文学研究科, 教授 (50396412)
佐藤 琴 山形大学, 学士課程基盤教育機構, 准教授 (20620941)
山川 曉 独立行政法人国立文化財機構京都国立博物館, 学芸部工芸室, 室長 (70250016)
渡辺 健哉 大阪公立大学, 大学院文学研究科, 教授 (60419984)
水盛 涼一 多摩大学, 経営情報学部, 准教授 (20645816)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 壬辰戦争期 / 明朝 / 上杉景勝 / 冠服 / 箚付 / 日本国王冊封 / 豊臣秀吉 / 犀角帯 / 壬辰戦争 / 保存修理 / 冊封 |
研究開始時の研究の概要 |
文禄・慶長の役における一時休戦時期の1596年、明朝の万暦皇帝が豊臣秀吉を日本国王に封じるために贈った冊封アイテムが、日本には数多く現存している。金印を除く誥命・勅諭・箚付・冠服類である。これらの貴重な文物資料を、文書研究や服飾研究、絵画資料などさまざまな角度から総合的に考察し、東アジア地域におけるこれらの文物の歴史的価値を分析し、明朝による冊封の変容を具体的に明らかにする。 本研究では、豊臣秀吉にとどまらず同時期に上杉景勝をはじめ陪臣たちにも贈られた箚付や冠服類を含めて包括的に考察する。
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研究実績の概要 |
2022年度は、九州国立博物館開催の特別展「琉球」での琉球国王尚家冠服類展示に合わて、7月下旬に資料調査と第3回研究会を実施した。玉冠および+冠服類を熟覧したのち、科研のメンバーに加えて九州国立博物館の研究員も参加し貴重な研究交流の場となった。国宝の尚家宝物を所蔵する那覇市歴史博物館主任学芸員の山田葉子氏に、「国宝琉球尚家「玉冠」の復元過程で判明した知見」と題する講演をお願いした。琉球国王の玉冠は、明朝の冠の形状を踏襲しつつ、琉球で様々なアレンジを加えて製作されたことを明らかにした。 分担研究者山川曉の報告「琉球王家と明清朝の下賜衣服」は、明皇帝の下賜衣料と清皇帝の下賜衣料の差異、明朝の下賜衣料は皮弁服と常服からなること、下賜衣料から琉球王家衣裳にいたる改変を明らかにした。また分担研究者渡辺健哉の報告「モンゴル時代の「胸背」は、近年盛んとなった中国服飾研究の中で、官服の装飾「胸背」をめぐる論点を整理し、儒教的秩序を示す中国史の視点にとどまらず、世界史や中国近世史・元朝史の視点から「胸背から補子への変化を跡づける必要性を指摘した。 研究代表者新宮が発表した論文「上杉神社所蔵の明朝から景勝に贈られた犀角帯の稀少性」は、①秀吉の日本国王冊封に際して上杉景勝にも贈られた冠服の腰帯は、単なる犀角帯ではなく秀吉に賜与された金箱犀角帯と同様に格が高く貴重なものである。②おそらく景勝に贈られた常服の補子と同様に、冊使の普段着で急遽数を合わせたことによる。③また秀吉に下賜された金箱犀角帯が現存していない中で、明朝皇帝から金箱犀角帯が下賜された琉球尚家伝世の「石御帯(イシヌミウビ)」は、修理が加えられたとはいえ金箱犀角帯の原型を窺えるものである。④さらに景勝の金箱犀角帯の存在は、尚家の石御帯との比較研究により琉球が行った修理内容を明らかにすることができる点でも貴重であることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初2022年度に予定していた海外調査が、新型コロナウィルス感染が依然として継続しており、中国に渡航できなかったために、研究が予定通り進んでいるとは言えない。 とはいえ、近年は海外での中国服飾研究が盛んで、図録類の出版や画像データの公開も相次いでいる。2022年度には、これらの海外刊行資料などを利用して、上杉景勝に贈られた犀角帯の稀少性を明らかにすることができた。
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今後の研究の推進方策 |
2003年5月8日からのコロナウィルス感染症の5類移行を承けて、国内の神社・博物館や大学図書館なでの資料調査を再開する予定である。 7月中旬には、米沢市の上杉神社で、修理を終えた犀角帯・烏紗帽・靴等の熟覧調査を予定している。 また12月上旬には、2022年に実施できなかった中国調査にかえて、九州国立博物館での共同研究会でその重要性の認識を共有した国宝の琉球国王尚家関係資料の調査を行う予定である。
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